私がまだ学生の頃、家で定期購読していた週刊朝日に掲載されていた「恨ミシュラン」と言う、西原理恵子と神足裕司が名店をぶった斬るコラムがあったんですよ。ほとんどの店が信じられないような言葉でぶった斬られていた中で、この店だけはふたりとも絶賛していたのをよく覚えています。天然の鮎の専門店といえば、東京ではこの店しか思い浮かばないくらいの名店なのですが、いかんせん自腹で行くのにはなかなか敷居が高くて二の足を踏んでいました。そんな折、私が大好きなグルメ番組「食彩の王国」の鮎特集でこの店を中心とした鮎料理を紹介していたのでこの機会と思い、行ってきましたよ。一眼レフを忘れまして、残念ながらiPhoneでの撮影です、、、スミマセン。
鮎は島根の高津川の天然鮎を使用。コースは10品。私たちは13650円のちょうど真ん中のコースを選択しました。前菜はこちら。ほおずきに見立てた、卵の黄身で作った餡をサーモンで包んだものが特に美味。これが何か説明を求めても、女将は厨房に戻らないと答えられない始末には残念。それから料理について女将に尋ねるのをやめてしまったよ・・・。どれもほんのすこしずつしかないんだけれど、期待をふくらませてくれる前菜ばかり。
白味噌仕立てのやさしい味の味噌汁に鮎が半分。なるほどうまい。いつまでも飲んでいたい。これは鮎の出汁なのか正直わからなかった。
輪切りにした鮎背越しが出てくるかと思っていたのですが、普通の切り身でした。これは洗いなのかな。昆布ではしめていないですよね?わからなかったのですが、水分が少なく締まっていました。特筆すべき感じはなかったけれど、季節が良くなかったのでしょうか。
待望の塩焼きは2尾。サイズも頭から尻尾までかぶりつけるちょうどいいサイズでうまい!しっかりとした皮のパリっとしたところ、うるかの苦味、触感がたまらない頭、かぶりついたときに鼻から抜ける香り。うまいです。もっと上のコースだったら落鮎(子持ちの鮎)が食べられたのかなぁ、秋に行ったのなら落鮎食べたかったなぁ。
私がこの店で一番食べたかったうるか茄子。素揚げにした茄子を、うるかのソースで煮た物。うるかの濃厚で奥深い苦味がすばらしい。このコース以上でしか食べることができないみたい。茄子を食べ終わったあとに、残ったソースを綺麗に食べるために一口の白いご飯が付いている。ソースときれいに絡めて、きれいにきれいにいただける。お客さんの提案でこうして白いご飯がつくようになったらしい。そのお客さん、すばらしい。
子うるか。鮎の卵巣の塩辛。鮎の入れ物に詰まっているのはかわいらしいんだけれど、蓋の部分がちょっと欠けていた。居酒屋じゃないんだぞと言いたい。
鮎の素揚げを塩で。個人的には塩焼きの方が好き。添えてあったさつまいもの素揚げが驚くほどうまかった。
鮎の酢の物。鮎三昧だからしょうがないけれど、鮎を敢えて酢の物にする必要ってないかも。
鮎ごはん。見た目以上に鮎はたくさん入っていてうまい。炊き上がった瞬間のお釜を開けてみたかったなぁ。香の物もうまし。
水菓子は青梅のかき氷。かき氷の中に柔らかくて青い梅が入っていて、暑い夏の季節には清涼感たっぷりでいいんだろうな。でも今は秋なので、もう少し考えて欲しかった。
鮎が自分の家の近くであたりまえのように取れる人にとっては、私がおいしかった鮎の塩焼きですらなんら普通の味のよう。でもその普通の味が普通に食べられない世の中になってしまったんだね。来年は長野の田舎で鮎をたらふく食べさせてもらえる約束ができたのでよしとしました。もう少し感動があるのかなと期待していたんだけれど、味だけで言えば9点。うるか茄子と塩焼きは10点。女将のふるまいや、欠けた皿を出してくることで減点かな。それでも席は満席。サービス料10%増しの二階席はいかにも接待という感じのお客で、不況と無縁の店のよう。それだけ信頼があるのかな。
もしも次回行くなら、島根の高津川で鮎が豊漁の時に、一番いい季節の鮎をいただくことにしよう。あとコースではなく、アラカルトにしようとも思いました。
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