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大塚「三浦屋」のアンコウとふぐ 8.5点

大人が楽しめる背伸びしすぎていない店「三浦屋」に連れて行ってもらいました。ホイチョイの「東京いい店やれる店」も2冊めになるとリアルすぎてただのガイドブックと化しているのが若干残念ですが、ここは「やれる店」の1冊めには載らないんだけれど、2冊めには載りそうな店です(伝わらないかな・・・)。私は1冊めの店も2冊めの店も好きなんだけれど、こういう店にさりげなく誘うおじさんはとっても好きです。大塚という場所もいい。

前置き長かったですが、この店へのお誘いメールは「アンコウとふぐと私」。ランチは鰻も定番らしいですが、今回は絶品と呼ばれる肝刺しにふぐのお刺身、それにアンコウ鍋をいただきに来ましたよ。鍋はやっぱりみんなでつつくのがおいしいよね。

東京でアンコウの店は、神田の「いせ源」と月島の「ほていや」くらいしか知らないし、断然「いせ源」派なのですが、ここの肝刺し1500円は「いせ源」と同じくらいおいしく、1切れあたりの価格はこちらのほうが安いので、軍配は「三浦屋」でした。これだけで延々と日本酒をいただいてもいいかもです。

こう、なんて言うか、ねっとりとしていて、脂の甘味を感じるのだけれどしつこくなくて、口の中でほろりと崩れる。この世で好きな食べ物ベスト5に入るな、これ。

続いて白子。これはマダラの白子です。マダラの白子は私の大好きな食べ物ベスト3に入るのですが、ものによって差が激しくて、軽々しく「白子大好き」なんて言って注文されちゃってまずい白子を食べさせられた時のがっかり感はたまらないです。でもこの白子はあまりにも新鮮すぎて、表面に浮かぶ毛細血管までくっきり見える。ポン酢もワカメやミョウガが添えられていてとっても私好み。

ちなみに私が今までで食べた白子のベスト1は、築地「寿司大」の白子のにぎりでした。あそこまで並んで食べる気力はもうないかなぁ。

続いても白子1200円。こちらはフグの白子。直径4センチくらいかな、とっても小さいんだけれど、皮がぷちっと破けて、中から濃厚なソースが飛び出し、皮の周りのねっとりとした口にまとわりつく部分と合い交わると、得も言われる幸せを感じるわけです。とってもいやらしい。こんなに一日で白子ばっかり食べて大丈夫なのだろうか・・・。

フグのお刺身。まだまだ私はおこちゃまで、フグよりアンコウかなぁ、フグのおいしさってまだまだわからないんだよなぁと思っていたのですが、今日のふぐ刺しはうまいなぁ・・・とうなづいてしまいました。たぶんおいしいフグを食べていなかっただけなんだろう。個人的には皮のコリコリとした部分が好きです。

フグのブツ差しを使ったサラダ。白菜の生を使うのはとてもいいアイデアだと思いました。フグのみをゴロゴロ感じられる贅沢な料理です。

この辺りから酩酊しまして、大事なアンコウ鍋の写真を撮り忘れ、もちろん雑炊も食べたのに写真に収めていません・・・。それだけトークが楽しくて食事どころじゃなかったんです。だからまた来なくちゃ。

 

あーー、楽しかった。

 

 

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東北沢「おかめ」のおでん 10点

私、おでんが大好きなんです。一番好きなのは、日本橋「お多幸」の安くて日本橋らしいなんとなくざっくりした感じのおでん、もちろんとうめしは外せず。「こなから」は、これがおでんか?っていうくらい繊細で、でもちょっと気取り過ぎていてお財布的にも私には合わない。その点、この東北沢の「おかめ」はしっぽりとした大人な雰囲気、たぶん10年後も変わらない佇まい、びっくりするような透き通ったスープ、秀逸なおでん以外のつまみ、財布にやさしいお会計、どれも素晴らしく一度行ってとっても気に入ってしまいました。

 

だってだってこんな真っ白なおでん、みたことある?関西のおでんはこんななのだろうか。練り物だって入っているのにどうして色が移ったりしないんだろう。スープはこんな色でもしっかり鳥のだしが効いていて塩もしっかり。大根は崩れていないのに中までスッとやわらかく、芯までスープが染み込んでいる。真っ白でふわふわのはんぺんは私好み。ゲソ巻もこんにゃくもうまい。とってもうまい。

 

 

豆腐のおでんは、つまり湯豆腐。たっぷりの刻みネギに醤油をかけてくれるのでスープにほんのり色がつきます。ツブ貝はとっても大きくて食べごたえあり、お醤油をつけて食べます。

 

実はとっても気に入ってしまい、一週間以内にもう一回訪問してしまいました。コの字型に20席ほどあるカウンターなのに全く同じ席だった。

 

 

おでん以外のつまみもとっても秀逸。お通しは二人で行けば二種類出てきて、気が利いたつまみが出される。冷たいビールをくくくっと飲むのには最適なお通し。この日はタコの三杯酢や小松菜と揚げの煮浸しだった。

 

カウンターの予約はできないので、しばらく席があくのを待っている最中、カウンター内のスタッフたちの一挙手一投足を眺めていた。すると揚場でこれはこれは美味そうなカレイが揚がっている。その時見たのは実は身の方ではなく、骨の部分だったのだけれど、かぶりつきたいくらいカリッと揚がっている。これはスバラシイ!と思い、注文するとたっぷりの身が。もちろんこの身の部分もおいしいのだけれど、下に敷かれた骨が塩で食べるとこの上なくうまい。骨はもちろん、尻尾も尾びれも、頭もうまい。残すところなんて少しもない。なのに隣のテーブルの女二人組、これを食べないでいつまでもいつまでもテーブルにおいてある。もしや食べないんじゃないかとハラハラしながら私は先に店を後にした。骨がうまいなんて知らないで大人になったのは、あぁ、かわいそうに。

 

 

山芋の磯辺揚げもすばらしい。海苔っていうのは日本人が愛する味だよなぁ、海苔と豆腐のホントの旨さはハンバーガーやステーキが最高だと思っている人種には理解できっこない。

 

 

この店が気に入ってしまった裏の理由は、大人の遊びができる店だから。「おでんどれにしようか〜」なんて選ぶのは楽しくてたまんない。せまいカウンター席は2人で来る以外に考えられないし、相手との距離が近いから会話も弾む。そうそう、だから心を許して会話ができない関係の人と行ってはいけないのです。東北沢駅からも5分ほどあり、外に飲み屋もないため人にばったりあってしまうこともない。酔って駅までふわふわと帰る道のりも楽しい。私の家からも程よく近い。そして予約ができないところもいい。予約できないってことはみんなも予約できないってことだから、ふらりと「飲みに行く?」なんて時に使えるわけで、でもそんな店でも条件を満たしていなくちゃいやで、そういう店がほしい年頃なのです。

 

あーー、楽しかった♪

 

 

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目黒「能登の夜市」の香箱蟹 9点

蟹は毛蟹って決めていた10代、上海蟹を知ってしまった20代、松葉蟹の違いに気がついた30代、香箱蟹に悶絶する40代。

 

40代になってから出会える食材があるって言うのはいいよね、まだまだ未踏の食がいっぱいあるんだな。私のTwitter友達に蟹が大好きだから「かにこさん」と言う方がいて、その人が年がら年中蟹ばかり食べているから、蟹への意識がここ数年高まりました。と言うわけで、香箱蟹お初です。香箱蟹は、ズワイの雌で石川県で捕れるものを言います。毎年11月6日から1月6日までと食べられる期間が雄よりも短く、また身が小さいためあまり東京には流通しなく、地元の方のごちそうとして食されているそう。そんな香箱蟹を含め能登の食材が食べられる居酒屋が目黒にあると教えてもらったので行ってきました。穴場っぽい。

 

まずは、カブラ漬けでビールをぐぐっと。このカブラ漬けは鯖でした。そりゃぁブリが良いに決まっているけれど、鯖で良いからたくさん食べたい派です。

 

 

刺し盛りは7種類。アジ、真鯛、ブリ、柳鰆、チヌ(黒鯛)、ヒラメ、タカバ。どれも新鮮でとてもおいしい。ブリは氷見で上がるブリと同じ海で泳いでいるだけあってなかなかうまい。

 

白子は揚げ浸しに。もちろんおいしいんだけど、蟹までのつなぎで、テンションはマックス。

 

そして香箱蟹、じゃーーん。ひとり一杯ぜいたくに。香箱の特長は、プチプチとした食感の外子、ほろほろと崩れる内子、味噌の三種が楽しめる上に、身が濃厚であること。さてさて、私たちは料亭で出てくるような「香箱化」を目指してここから黙々と剥き続けます。つらい時間です。手についた小さな身と取り切れない足の細い部分を吸うだけですが、うまさは指から伝わってきます。この時点で興奮がとまりません。

 

これがその内子ね。食欲をそそる色だよね~。

 

 

じゃーん。こうして身を剥いて、甲羅の上に載せて、私の「香箱化」が完成~。いやー、いろんな食感、うまみを味わえて幸せすぎる~。4人全員剥き終わったところで、大量に口に運ぶ。うわーー。うますぎて黙ってしまう。悶えフード認定。そしてビールから日本酒に変更。甲羅の身は日本酒を注いでキレイにし、飲み干します。日本人で良かったよね、私たち。

 

そして、二人前のおじやを注文。身がたっぷり入っておいしいのはもちろんなんだけど、外子や内子の食感が、柔らかいご飯にサプライズを与えてこの上なくおいしいんです。この上なく。

 

若干物足りなかったので、ブリしゃぶも注文。このブリしゃぶがとてもとてもとてもおいしかった。脂が乗りすぎている感があるこの時期のブリも、しゃぶしゃぶすると絶妙に。「おおおー、これはー」と大はしゃぎした感は、実は香箱より大きく、次回もリピートしようと心に決めました。

 

 

さて、タイミング良く、金沢の後輩からまさにこの日に家に香箱が送られてきまして、この週は連日の香箱祭りでした。いやいや、これは年に一度は食べないと行けないね。

 

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築地「魚がし料理三代目 金八」の夜のメニュー 8.5点

久しぶりに築地までお魚を食べに行ってきました。それも夜。昼は手ごろな価格で食べられる定食屋としてかなり定評があるようですが、夜は天然の魚のみを扱う小料理屋。居酒屋のような店構えにしては強気な価格設定ですが、その味には納得です。

付きだし三種。左はいちご煮。海の香りがいっぱいで食欲が増進。右はマグロとアボカドのタルタル、春巻きの皮を揚げたものがのっていて、食感に変化があり飲み屋の居酒屋と一線を画している。上はアオヤギのぬた。突き出しだけで1500円くらいしているのでは?と思っちゃう。こんな良いマグロをタルタルにしちゃっていいのだろうかという罪悪感がたまらない。

 

 

刺し盛り2400円。右上から左回りにマグロ、赤貝、鯛、イカ、シマアジ。量は少ないけれど極上の魚たち。

 

長良川の鮎塩焼き1200円。はらわたとその周りの薄い肉を取り、たで酢でやると日本酒がぐいぐい進む。たまらん、たまらん。鮎のはらわたたまらん。ふわっとした身にふった塩が当たると加減良く、これまた酒が進む。ぱりっとした皮、あぁしゃぶりつくしたい。
添えてある、ミョウガの赤酢漬けや昆布の山椒煮、レンコンの酢漬け、どれもちょっとした口直しが一品なのがいい。

 

野菜天盛り。1200円。ナス、ミョウガ、インゲン、アスパラ。値段はかなり高いが、とても上手に揚がっている。

 

ウニ天ぷら、880円。海苔で巻いてあり、ウニの濃厚さを熱々で感じられる。いや、でも、ウニは生が良いかなぁ。

銀むつの西京焼き1600円。これがこの日の一番だったかも知れない。ここまで濃厚でねっとりとしていて、こぼれ落ちたわずかなかけらも惜しくてキレイに拾ってしまったのははじめて。築地場外のナカトウ食品、魚久のもどれもすごく旨いと思ったけれど、これは遙かに超えている。でも高い。

 

ツブ貝の釜飯。頼んでから40分ほどでできあがる。途中、蒸らしはテーブルの卓上コンロでしてくれて、その立ち上がる湯気で幸せな気分に。海苔の味噌汁と漬け物が付いて2400円。ご飯は軽くよそって4杯程度。まぁ贅沢。

 

 

味も盛りつけも一流だし、お店の人も対応も行き届いているんだけど、店内の大きなテレビや壁一面に貼られた手書きのメニューは客単価とは合わない。軽く飲んで、ひとり8~9000円。今回は最初からおごってもらえる前提(それも予算にも制限なし)だったのでここにしちゃったけれど、自腹でここを選ぶのはなかなか勇気がいるな。いや、でも、すごくおいしいし、お店の人の感じも良いんです。ランチ予算と内装のギャップがあるからそう思うだけで、もう少し儲かってきたらそこの穴はうめてほしいな。

 

 

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【バスクへの旅その2】サン・セバスティアン「GOIS ARGI」の立ち飲みバル 10点

バスク初の街は、スペイン側最大の街San Sebastian(サン・セバスティアン)。海沿いのリゾート地で小さな旧市街地に100件以上ものバルが軒を連ねていたり星付きのレストランが密集していたりと美食の街として有名。日本からやっとついたのが夜の9時半ごろだったのだけれど、さっそく市内バスで旧市街地に向かいバルへ。市内バスは一律1.4ユーロでたくさん走っているのでとっても便利。24時間周遊券が12ユーロであるみたいだけど、その都度払ったほうがお得みたい。

バルについては数年前の雑誌「旅」やツイッターで出会った人に教えてもらい、たくさんある店の中から滞在中3軒4回まわることができた。この「GOIS ARGI(ゴイスアルギ)」はあまりにも安くておいしかったので2回行った店です。一回のバルはふたりで1杯ずつ飲んで、ひとり2品ずつくらい食べて10ユーロちょっと。高くても15ユーロ程度。胃袋の小さい日本人は量を調整できるので合うみたい。

ここではみんな白ワインはチャコリと呼ばれる大衆ワインを飲む。発泡を抜くためにこんな風にして高いところから注ぐのがかっこいい。このチャコリ、地元で90%は消費して外にはでまわらないそう。この店ではたったの2ユーロ。町の酒屋で2瓶ついつい買ってしまったけれど、7ユーロ程度ととっても安かった。シードルもこの地発祥のお酒。


店の外まで人が溢れかえっていて、おしわけおしわけ入っていって、無理やりカウンターを陣取った。注文の仕方も流儀もわからないまま、指差しと隣のスペイン人のアドバイスで注文する。英語はあんまり通じないんだけれど、第二外国語がスペイン語でよかった。数字とかちょっとしたあいさつとか思い出したよ。オラ!とアディオス!とグラシアス!覚えてた・・・。その程度でも笑顔さえあればどうにでもなった。フランス側のばすく含めて全体に言えることだけれど、どこの街も治安が良くてきれい、人々はやさしくてフレンドリーで愛想が良い。

この店の名物、海老の串焼き1本2ユーロ。この店のピンチョスは注文が入ってから作ったり温めたりするから、どれも温かい。この海老、すごくうまい。柔らかくて、上にのっているにんにくと玉ねぎベースのソースがうますぎる。やみつきになる味なんだけど再現できそうにない。ソースは下のパンに染みこんでこれまたうまい。二回目に昼間に行ったとき、女将に若干余裕があって話ができたときに「これはこの店のスペシャルよ!」と教えてくれた。この店に来た人はみんなこれを注文している。

赤ピーマンのバカラオ(塩だら)詰め1.8ユーロ。この地では塩だらメニューが豊富。ソースは赤ピーマンと生クリーム。とても立ちのみとは思えない作り込み。こういうソースがうまい料理が出てくると、さっとパンが出てくる。最後の一滴だって残したくないうまさ。

生ハムの入ったクロケッタ。揚げたてで中からクリームがとろっと出てくる。生ハムのクリームコロッケって考えたことなかった。今度やってみよう。

左は地元で採れる毛蟹チャングローの肉と味噌を和えた物1.8ユーロ。毛蟹を使った値段とは思えない。肉はたっぷり、味噌の濃厚さがたまらない。注文されてから表面をこんがりさせるから香ばしい。他のバルでもこのチャングローを食べさせる店があった。

右はボルチーニ茸かなぁ、何かのキノコと生ハムの炒めた物。パンの上に載せるとうまい。

種類が多くて食べられなかったけれど、いわしを使ったピンチョスは豊富だったよ。

バルのお会計は結構いい加減。注文したときにその分を払ってもいいし、あとでまとめて払ってもいい。ただし申告制で現金のみ。料理はピンチョスと言われる串に刺さったりパンにのったものが多いから、手がとっても汚れる。紙ナプキンで手を拭いたらそのまま床へ。串だって床にぽいっ。このゴミの量が通りからバルをのぞいた時の流行り具合の目安になるってわけ。そのままカウンターの上においていたら、お店のおいちゃんにドヤ顔で下に落とされた。流儀を教える方法も嫌味一つないところがいい。

またバルではひとつの店でお腹いっぱい食べちゃいけない。1杯のんで数品頼んで、ささっと会計をし、また別の店へ行ってお気に入りの料理を注文する、そういうハシゴが常識。自分流のバル巡りを見つけられればいっぱしのサン・セバスティアンっこになれるわけで、あこがれちゃうなぁ。

この店は近所にあったら毎日行ってもいいな。昼からやっていて、昼はコーヒー飲んでいる冷ベビーカー引いてくる人もいる。

バルはもう2軒行ったので紹介出来ればいいな。