Archive for 11月, 2007

【山形特集】酒田「満月」のワンタンメン 8.5点

出羽三山の羽黒山から再び鶴岡駅へ戻り、羽越本線を北上して約30分酒田へ。私にとってほとんどなじみのなかった山形だけれど、酒田と言えば歴史で習った「北前船」で有名な貿易の港として記憶の片隅に残っていました。江戸時代は、最上川から運ばれてきた紅花やお米が西回り航路で大阪へ行き、「西の堺、東の酒田」と呼ばれるくらい栄えたそうだとさ。歴史はこうやって学ぶとすんなり入ってくるね〜。
(もしそれでも酒田にぴんと来ないのであれば、「おしん」が奉公に出た町と言えばぴんと来る?ちなみに父である伊東四朗といかだで別れるシーンは最上川です)
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北前船時代の名残は街の至る所に見られ、お米の倉庫である「山居倉庫」は未だに現役。写真のケヤキ並木と二重の屋根で湿気のない低温の倉庫を実現できるらしいんです。紅葉の頃だったらもっとキレイだったろうに。
この酒田は、海が近いこともあって魚介系のスープで作る「酒田ラーメン」が有名。タクシーの運転手さん曰く、有名店はいくつかあれど観光客が多く、週末の昼時には行列ができることもあるとか。私も一番の人気店「満月」へ行ってみることに。
店内は座敷もあるかなり広い店で、家族連れからカップルまで幅広い年齢層でにぎわう街のラーメン屋。ラーメンを作るのも普通のおばちゃんで、東京のラーメン戦争なんて何処吹く風?と言った感じ。ゆるくていいよ、ラーメンはやっぱりこうでなくっちゃ。一番人気のワンタンメン650円を注文。
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これはラーメンなのか?っていうほどの魚介系スープ。そばやうどんと言われても異論ないスープに、中華麺、それにシナチクにチャーシュー、主役のワンタン。脂が浮いたスープだと熱くて猫舌の私はなかなか飲めないんだけれど、ここはそばつゆのようだからか、スープがぬるいからか、最初からぐんぐん飲める。ちょっとしょっぱいのが気になるが、こんなのも悪くないかも。
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メニューを見ると、予想通りそばやうどんも扱っていた!商店街の八百屋でも思ったけれど、やっぱり物価は安いなぁ。
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主役のワンタンはヒラヒラした部分が大きくて、肉はほんの一口サイズだけれど、予想以上の数がスープに隠れている。ワンタンは薄くて箸でつかむと確実に切れて、レンゲですくって食べないと無駄なく食べることができない。でもこのふわふわ、ヒラヒラのワンタンも悪くないかも。もし酒田に行くことがあれば、話のネタに酒田ラーメンでもいかがですか?山居倉庫から徒歩10分くらいです。
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最終日、鶴岡駅から家路につこうと待合所にいると、運良く「きらきらうえつ」がホームに。この「きらきらうえつ」その時にはよくわからなかったものの、あとから父に聞いたりネットで調べたりしたところ、人気のある臨時列車だそう。地酒を飲みながらくつろげる車内と、沿線の観光地と連結した観光案内がウリだとか。新潟から鶴岡までコレに乗れば良かったな。でも、旅は少しくらいやり残しがあった方が良いよね。
話は変わりますが、鶴岡と言うことで東京駅で藤沢周平の「蝉しぐれ」を購入。あまりにもすばらしい作品で未だにすがすがしい気持ちが残っています。主人公の青年が最初の試練を迎えたとき、私は羽黒山行きのバスの中。涙が止まりませんでした。きっとこの本は、自分とそこに生きる人を照らし合わせてしまうんでしょうね。鶴岡は藤沢周平の物語の世界が詰まった場所なんですね。
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満月
〒998-0855 山形県酒田市東中ノ口町2-1
0234-22-0166
11:00〜16:30

【山形特集】湯田川温泉「珠玉や」の夕飯 8.5点

3連休は山形へ。山形チョイスの理由は、まだ訪れたことがない東北の唯一の県だから。遅い紅葉が見られるかなぁと思っていたら、山形はとっくに冬でした(笑)。
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山形は、山形新幹線で行く東回りと上越新幹線経由で行く西回り、それに飛行機で行く3つのパターンが一般的。私は先日訪れたばかりの新潟経由の西回りを選択。MAXときと言う二階建ての新幹線は、東京駅の次がなんと新潟でした。1時間40分ほどで着けるなんて速い!そこから、羽越本線「特急いなほ」に乗り換え、日本海の海岸線を走って2時間半、鶴岡に到着します。途中、村上を越えた辺りは「笹川流れ」と呼ばれる美しい海岸景勝地で、荒れ狂う日本海の厳しい海が作り出す奇岩や白い波がとってもきれい・・・だが、あまりにも強い風と波で圧倒されてしまいました。
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鶴岡のある庄内平野は、鶴が飛来することでも有名で、左右に広がる田園風景には大きな鶴の群れが至る所に見られました。この機会に山形をたくさん勉強しているな・・・、旅ってこういうのが楽しいよね。
今回訪れたのは、鶴岡からバスで30分ほどの湯田川温泉。旅館が10軒ちょっとの小さな温泉街なのですが、贅沢なかけ流しの温泉。山形にはたくさん美味しい物があるので期待もふくらみます。泊まった宿は久衛兵旅館別館の「珠玉や」。比較的リーズナブルに泊まれて、美味しい料理と温泉にどっぷり浸かれる。その中で美味しかったメニューをいくつか紹介します。
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「山形牛のしゃぶしゃぶ」。赤身中心の肉がうまい。
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二晩とも夕食に出てきた「なすそうめん」。米なすに片栗粉をつけてゆでてから冷まし、冷たい出汁に浮かべたもの。今度うちでも作ってみよう。
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「鰤大根」。ゼラチン質の皮のまわりがうまい。
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「いくらご飯」。新米がうまい!山形だから「はえぬき」かなぁ。もしかしたらお米が一番うまかったかもしれないなぁ。
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「羽黒豚のしゃぶしゃぶ」など。あとここで出てきた漬け物はみんなうまかった。
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「口細カレイの焼き物」「蓮根・舞茸などの挟み揚げ」。新潟で食べた柳カレイの寿司はうまかったけれど、このカレイもなかなかうまい。
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二日目は、出羽三山で有名な「羽黒山」へ。ふもとの羽黒センターまで鶴岡駅からバスで約40分。雪がどんどん深くなり、バス通りの両脇の家並みのほとんどが窓にトタンを貼り付け、冬対策をしている。庄内平野は雪よりも風対策が必要らしい。この写真は、ふもとから階段で300段ほどのところにある「五重塔」。大木ばかりの森にあるこの白く輝く木造建築は、私でも何となく霊山であることを感じさせる。山伏出てきそうだし。頂上までの階段は2400段ほどで、そりゃ楽じゃないけれど小一時間ほどでつく距離なのですが、足下は雪ですべり息を抜けない状態。着く頃には汗でぐっしょりでした。
行くなら夏だね。
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湯田川温泉「珠玉や」
山形県鶴岡市湯田川乙39
TEL.0235-35-3535
全館禁煙です。

月島「もんじゃ 丸山」の味噌もんじゃと焼きそば 8点

dancyu10月号の2特に「ニッポン縦断ソース焼きそばの旅」があり、月島のもんじゃ屋さんが紹介されていたので訪問。富士宮焼きそばに数年前に出会って以来、焼きそばがただのお祭りメニューにならなくなってしまった。
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私が小さい頃、焼きそばと言えば土日の昼に出てくるのが定番でした。決まって東洋水産つまりマルちゃんの焼きそば3人前ソース付き。最後にしめった粉末状のソースをかけるんです。今思えば、商品名がそのまま「焼きそば」ってどういうことよ(笑)。このマルちゃんの焼きそばも、今では塩焼きそば、醤油焼きそばとあるみたいです。
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焼きそばを食べに行くって言っても、この店は生粋のもんじゃ屋。この店自慢の味噌もんじゃとやらを食べてみることに。生地は生いかが入ったシンプルなタイプ。うまく作れないので、おかみさんに頼んで作ってもらった。味噌はみそ汁同様、温かくないと溶けないらしく、具をドーナツ型にして鳥のスープを注ぎ込んだところへ溶かしていく。決め手はスプーン一杯の醤油らしい。
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そして程なく完成。ソース味のもんじゃより味が濃く、当たり前だが和風。味噌をたっぷり塗った焼きおにぎりみたいな感じ。こんな味ならイカよりもアサリの方がよかったかも。ちなみにアサリ味噌もんじゃにもちとチーズを入れたものを中山美穂が好きだったらしく「ミポリン」と呼ぶらしい。今度食べてみなくちゃ。
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特に煮詰まってきたところがいい。香ばしさも火の通り加減も、焦げた部分もこれくらいがベスト。
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さて、本日のメイン「豚やきそば」・・・、と思ったらおかみさん作ってくれないようなそぶり。「私焼きそばを作るのは得意じゃないのよ」って何年やっているんだ、ちょっとかわいい。「dancyu見てきました」と伝えると急に笑顔になって、「ならお父さん呼ばないと!」と笑顔になって、2階にいるお父さんを呼んでくれた。
まずはたっぷりのごま油で豚肉を炒める。途中、ごま油を足しつつ肉をよく焼いたら、野菜投入。塩胡椒で軽く炒めたら焼きそばをこんもり載せ、コップ半分のビールで蒸し焼きに。ソースは、お好み焼き用のとろっとしたものと、さらっとしたウスタータイプの2種をミックス。無駄のないコテ裁きで、水分を飛ばし完成。味はと言えば、誰もが好きになる定番の焼きそば。麺は太めでしっかりしていて、この麺がこの焼きそばを支えているのがよくわかる。ひとりで2人前は食べたくなるような味かな。
場所はかなりわかりにくいので、メイン通りの案内所で聞いてみて。
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もんじゃ 丸山
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東京都中央区月島1-4-10
03-3533-3504
月曜定休

銀座「煉瓦亭」のハンバーグステーキ 8.5点

午後7時銀座、お腹も空いたしどこかで食事をしてから帰ろうと思い「煉瓦亭」へ。なんと10人ほどの列と「売り切れメニュー多数あります」の張り紙。「ナイルカレー」に変更しようかと思案しながら並んでいると、店が広いからか10分ほどで案内されました。この時期だから「カキフライ」を食べなくちゃと注文すると、予想通り売り切れ、やむなく仔牛のカツレツを注文するとこれまた売り切れ!がっかりしながらも、こんな時こそいつも頼まないメニューをと思い、ハンバーグを注文。
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じゃーん、定番メニューでありながらやっぱり心躍らされるフォルムでしょ?上に載っている白いものは一瞬バターかと思いきや、定番の目玉焼き。小さめの型で作られているのでまわりはしっかり固まっているのに中にはとろとろの黄身が固まらずにたっぷりと詰まっている。付け合わせは小タマネギにパスタ。
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ハンバーグを割った図。透明の肉汁がじゅわーっとしみ出す。誰からも愛される奇をてらっていない味。たまねぎの味が効いている。そしてなんと言ってもデミグラスソース。このソースだけでご飯もう1杯イケル。そうそう、私はパンじゃなくご飯で食べました。ここのご飯、水分の加減が洋食にちょうど良く、いつも一粒残らずいただけます。でもご飯だとデミグラスソースの最後の1滴まで食べられないのが残念。
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この店に一度でも行ったことがある方はお会計の際に「おやっ」っと思いますよね、このレジスター。今でも現役です。いつもレジにいるこのおじさん、とってもやさしい笑顔と丁寧な対応が印象的です。ドア係の人も対応がすばらしく、子供にはちょっとしたおもちゃやメモ帳をあげたりしているんです。親子みんなで豪華に洋食を食べようって言う店なんですね。この店は、明治28年創業ですから、もう112歳です。
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銀座の街はすっかりクリスマス。MIKIMOTOの毎年恒例のツリー、今年もひときわキレイです。人が多くて近づけません。
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こちらは松屋。なんとヴィトンカラーです。うわー、かわいい。クリスマス、わくわくしますね。
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煉瓦亭
東京都中央区銀座3-5-16 
03-3561-7258
11:15〜(L.O.14:15)、16:40〜(L.O.20:30)、土祝11:15〜(L.O.14:15)、16:40〜(L.O.20:00)
日休

築地場内「寿司大」の旬魚おまかせ握り 10点

この日はあいにくの雨。
昔、築地場内「大和寿司」の板さんに「台風や吹雪の日は築地はすくよ」と言われ、ホントに吹雪の日に行ったら10分ほど並んだだけで入れたのを思い出し、こんな日は寿司だ〜と思って行ってみました。「大和寿司」だったらさっと入れたのかもしれないんだけれど、いつも入れない「寿司大」にチャレンジ。1時間半も並んじゃったよ。まー、いつもに比べればいいんだろけれど。おかげで極上の寿司に出会えました。
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1時間半並んだので寒くなってしまい、ぬる燗で温まる。その突き出しに出てきたのがシマアジ。紅葉おろしとポン酢が脂ののった身によく合う。
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握りはまず、中トロから。適度な脂とほどよく温かいシャリが出会い、口の中で完成される感じ。このくらいの中トロはシャリが一緒の方がうまい。
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焼きたての卵焼き。箸を入れると湯気がほわんと立ち上る。卵焼きは最後に食べたかったけれど、焼きたての卵焼きだったらその場で食べたいよね。大きくてびっくり、甘くて優しい味。
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ヒラメを岩塩とスダチで。これもシャリと一緒のほうが格段にうまい。ヒラメの歯ごたえある身と透明感のある脂、それを塩とスダチですっきりといただく。
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この日のベスト、金目鯛昆布締めの握り。タダでさえ甘みがあってうまいキンメを昆布締めにしてさらにうまみを加えている。これも握りにしてこそうまいと言った感じ。この店は、鮮度の良い魚をただ握るだけでなく、シャリと一緒になったからこそうまくなる技術を持ち合わせている。
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ホッキ貝。動画で見せたかった〜。パンとはじくとぐわっとシャリの上でのけぞる。歯ごたえ最高。
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赤身の漬け。まぐろはやっぱり赤身かな。こういう赤身のうまみってなんていえばいいんだろう。ねっとりとしていて、なんとか酸?のうまみ?
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エゾバフンウニ。色も味も濃いです。いい海苔使っているなぁ。
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淡路産釣りアジの握り。アジを釣ってこんな風に握りにしてたらふく食べたい。
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白海老。ひとつひとつ剥いてこんもり盛ってある。あまーくてとろっとしている。
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いくら。この時期のイクラが一番良いんだと豪語していた。季節はずすと普通は冷凍だからね〜。
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穴子。ほわほわ、温かい穴子がシャリと出会うとサイコーです。
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まぐろときゅうりの巻物。これとあと一品で鮮魚おまかせに切り3650円は終了。
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好きな物を一品握ってもらえると言うことで寒鰤を注文。もう少し経つと氷見産になるそうだが、本日は北海道産。氷見も富山も同じ海なんだから一緒何じゃないの?と聞くと、海流の関係でそうも言い切れないとのこと。ただ氷見産というブランドがついてしまい、浜で値が上がるのを待つことが多くなって鮮度が落ちているらしい。今度のとに行くときは冬にしよう〜。肝心の握りですが、見た目は大トロみたいで鰤だってわからなかった。上質の繊細な脂がたっぷりのっていて、口の中で溶けてしまう。あー、これはどんぶりで食べたいぞ。
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さらに追加でオーダー。白子の握り。ゆでたての白子は超アツアツ。口の中でぷちっと破けたときにどろっとあつ〜い白子が溶け出しやけどしそうに。白子が嫌いな人は鮮度の悪いものを食べているだけだね。
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さらに追加でオーダー。カワハギの肝載せ。このビジュアルやばいでしょ?淡泊な中にうまみがあるカワハギの身に、フォアグラ並みにうまい肝を載せたもの。これってフレンチの域だね。肝の濃厚ソース載せでしょ?
というわけで、1時間半並ぶ価値がありました。1時間半、私と楽しいおしゃべりにつきあってくれるなら誰か一緒に行きましょう〜。もうホント暇で暇で、スクワットしちゃいましたから。でも「大和寿司」の方がすんなり入れるかもね。閉店間際か、開店と同時がいいみたい。ちなみにこの店の開店は5時です。並ぶなら30分以上前ね。
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寿司大
東京都中央区築地5-2-1 築地市場内6号館
「天房」「大和寿司」の間です。