All posts tagged バスク

【バスクへの旅11】サン・ジャン・ド・リュズのCHEZ PABLO(シェ・パブロ)

フランス側のバスクにある港町「サン・ジャン・ド・リュズ」には、ビアリッツからバスで買い物に来たのと、バルセロナへの帰路と二度利用しました。食事は、二度ともバスク情報でお世話になった長尾智子さんの「わたしとバスク」に掲載されていた、マルシェ近くのCHEZ PABLOを利用。もし次回この町を訪れたとしても、必ずここに行きたいと思える店でしたよ。
バスクへの旅の資料はあまりなく、ずいぶん昔の雑誌「旅」のバスク特集「PEN」のバスク特集、それにこの「わたしとバスク」がとっても役に立ちました。あとはTwitterでバスクについてつぶやいている人に直接聞いたり。バスク好きはみんな親切でしたよ~。

話しは戻って、シェ・パブロ。赤い扉にチェックのカーテン・テーブルクロスがステキな街のレストランです。

店内もこんな感じ。国境近くとは言ってもやっぱりフランスです。

メニューはフランス語!ととまどうなかれ。


どなたか旅行者が和訳してくれた日本語のメニューがあるんです。そうとうくちゃくちゃですが、わかりやすいんです。これもしかして長尾さんが書いてくれたのかしら。

この店で食べなくちゃいけないメニューがあるのにもかかわらず、下調べが行き届いていなかったため、1回目の訪問は日替わりランチを注文。水みたいなサングリア?ロゼ?がバスクっぽい背丈の低いコップと共に出されます。暑かったので私はビールぐびぐび飲んじゃいましたけど。

最初はスープ。すいません、なんだったか覚えていません。異常に熱かったのを覚えています。よく煮込まれたすじ肉と豆?ジャガイモ?っぽいスープだったかな。

サラダはちょっとピリッと辛さがきいたトマトのサラダ。

私はデーンとステーキにポテト。この肉がうまみが詰まっていてうまいんですよ。繊細すぎない肉と塩こしょうのみのシンプルな味付け、ほくほくのポテト、そしてそのポテトは無造作にもられていて、なかなかよかったです。

やまぴーはクスクスの上に鶏肉の串焼き肉。ピーマンやパプリカのグリルがとろり溶けてこれもなかなか。どちらのコースもボリュームたっぷりで腹がはち切れそうでした。

となりの男性二人組を見るとイカスミのグリル食べてる!いやーん忘れていたよ、この店に夏に来たらこれ食べなくちゃいけないんだった。どういう関係か微妙な男性二人においしそうな料理とともに写真を撮らせてもらうことに。うん、ドヤ顔ステキです。胸に挟んだナプキンが無造作でかっこいい。

こちらはどういう関係か微妙な片割れ。写真撮らせてと言ったら舌出しちゃって、かわいい。私が食べたお肉と同じなんだけど、彼が食べると肉が小さく見える。

こちらは左側の家族三人。これまた昼ごはんとは思えない巨大な悪を食べています。肉!って感じの赤身が美味そうだなぁ。みんな自分の食べるものを自慢しちゃってる。

奥さんとお子さん。このおこさん、DS(PSPだったかな?)をやりたくてでも充電が足りなくてずっと店のカウンターの脇で充電しながらゲームしていたんだけど、店主に邪魔だと首根っこ掴まれて奥のテーブル席の脇のコンセントに連れてかれてた(笑)。その姿がマンガみたいでかわいいの〜。

これにデザートとコーヒー。デザート断ったらチーズ出てきたし・・・。これで13ユーロだからお得だけれど小さい胃袋な私達には苦しくて苦しくて気持ちが悪くなりました。それに下調べ不足から、ここで食べるべきピペラドとイカスミ食べるの忘れたし・・・。と、楽しくておいしかったけれど、心残りのシェ・パブロのランチ。バスクを去る日に湖の街からTGVに乗る予定だったのでスーツケースをカラカラひっぱりながらもう一度来ました。

ってわけで気を取り直し、きちんと下調べと食べ過ぎを注意して二度目のシェ・パブロのランチへ。最初はスープ・ド・ポワソン6.5ユーロ。クルトン山盛りでくれます。熱くて熱くてなかなか食べられなくてたらたらしていたら、店主に口に押し込まれた〜。ダメな日本人に映っていたのだろうか。

これがお目当てのピペラド入りオムレツ6.5ユーロ!ニンニクと辛くなく青唐辛子、玉ねぎ、パプリカ、トマトを卵でとじ、最後にエスペレット産の赤唐辛子を振り、生ハムをぺろりと乗せた家庭料理。唐辛子を加えたシンプルな味付けがおいしい〜。

こちらは一度目の訪問で隣のおじさんが食べていたイカスミのグリル。濃厚なイカ墨をトマトベースで伸ばしてオーブンで焼き上げている。うまいー、でも口の周り真っ黒ー。パンできれいにすくいとって皿をきれいにしていただきました。

楽しかったバスクの旅も最後。このカメラの手前ではサン・ジャン・ド・リュズで寂しくうなだれている私達がいます。

サン・ジャン・ド・リュズからTVGに乗ったのはホントにつかの間。イルンに入ってバルセロナまで6時間の長旅が始まります。renfeは乗り心地はいまいち。バルセロナに向かえば向かうほどテンションは下がり、そのあと最悪な事件を迎え、「二度とバルセロナなんて行くものか」と思いつつ、「ま、トランジットならいっか」くらいの気分までは立ち直りました。

バスクはまたいきます。できれば来年行きたい。いっしょにサン・セバスティアンの街でバル巡りで呑んだくれてくれる人募集中。一生の思い出に残るグルメで心が開放される旅を企画しますよ。

ってわけでアディオス!アスタ・マニャーナ!

【バスクへの旅その10】L’Auberge Basque(オーベルジュ・バスク)の食事 後編

引き続き、オーベルジュ・バスクについて(前編はこちら)。オーベルジュと呼ばれるからだけに食事はなかなかのもので、朝食以外は宿泊者以外にも解放されています。レストランだけでなく、昼間はカフェ利用もあり、この緑いっぱいの空間にふらっと立ち寄ることもできるわけです。宿泊しない方で、このあたりをドライブされる方はふらりと寄ってみるのも良いかもしれません。

このオーベルジュの良さは、そのないようにみえて、きちんとあるサービス(おもてなし)です。「きっちりサービスしています」というようないかにものサービスというわけでもなく、おもてなしの心だけはあるけれど民宿的な距離の近さや田舎くささがあるというわけでもなく、洗練されていて、しかもおしゃれなのに格好つけていなく、前からここにいたような心地よさを感じるんです。「この緑と空と風を贅沢に味わってほしい」という気持ちと、それをサポートするためのやりすぎではないサービス。そしておいしい食事。ここに来たらぼけっと昼寝をし、太陽のまぶしさと日陰の心地よさ、吹き抜ける風に少しテンションをあげ、雨が降ったら木陰でしっとりと緑が塗れていくのを感じる。そんなことを感じてほしいので宿泊、それも2泊以上をオススメします。

さてさて、まずはここの朝食から。朝食は南側のレストランの一角でとることができますが、「外で食べてもいい?」と聞いたらもちろんOKで、2泊目は外でいただきました。この写真の太陽の下あたりにある外テーブルです。朝は日差しがいっぱいです。

これがその朝食!一日目にダイニングで食べているところです。私は大きなポットにたっぷりのコーヒー、やまぴーは南部鉄器に入った紅茶。パンはガトーバスクを含む4種類、ヨーグルトにルバーブとナッツのジャム、それに選べるフレッシュジュース。パンケーキにはハチミツをたっぷり。これで16ユーロ。28ユーロのもうワンランク上の朝食は見ていないけれど、これ以上豪華にするってことはハムや野菜や卵が付くのかしら。

翌日は外で。バスク・リネンのカラフルな色が朝の日差しに映えてすがすがしい~。パンは食べきれないので持って帰ろうと思い、ナプキンがほしいと言ったら、このレストランのおみやげ物を入れる上等な厚い紙袋を持ってきたからびっくり。みんな持って帰ったりしないのね。となりのテーブルもほとんど残していて、朝食に喜びを感じている様子もなし。こんなステキな空間と贅沢な朝食をもっと満喫しようぜ~、フランス人♪

どちらかと言えば好んでヨーグルトを食べない私ですが、このヨーグルトは濃厚で牛乳の味がしっかりして酸味も少なく、もちろん甘くなく、とってもおいしかったの。ナッツ入り手作りのルバーブのジャムとベストマッチで毎日食べたいヨーグルトでした。EKIAというヨーグルトでバスクで生産されているみたい。調べてみたけれど日本では売っていないヨーグルトだったよ。残念。

続きまして夕食。夕食は20時以降の予約なのですが、まだ20時はこちらでいう夏の17時くらいで結構強い西日です。料理は基本的にはコースで、前菜とメインの数で値段が決まります。初日は前菜とメインが二つの36ユーロのコースを選択(調べたら値上げしているよう)。一つ星の味がこのお値段で食べられるのはとってもお得。でも正直、料理のことは詳しいことは忘れてしまいました・・・・。細かいことをかけなくてスミマセン!やっぱりブログは記憶の新しいときに書かなくちゃダメだな、反省。

私はグラスのシャンパンやワインでしたが、お酒を飲まないやまぴーは、終始このプランツドリンクを選択。お茶という感じではないらしいがとても気に入っていた様子。

アミューズ。瓶に入っていてフタを開ける仕組みになっているの。やっぱりアミューズはわくわくしないとね。下にひかれた唐草模様のプレートステキでしょ。

初日の前菜。盛りつけはさすがフレンチ。美しい~。

やまぴーの初日の前菜。中からどろっと黄身が。

私のメインは肉。


やまぴーのメインは魚。いろいろな種類のにんじんを使っているとのこと。

デザートの時間になってようやく日も暮れてきました。

このデザート共にコーヒーや紅茶がだされるんだけれど、紅茶を入れるポットに南部鉄器を使っていたのは印象的でした(朝食の写真参照)。そして添えられたのはこんぺいとう!ふたりで喜んでしまったのですが、これは紅茶に入れるお砂糖として使うためだったようです。そういう発想は日本人にはなかったけれど、いやいややっぱりこんぺいとうは口に含んで、あの凹凸とやさしい甘みを舌の上で感じるのがいいんじゃないかと思います。日本のいいところをうまく取り入れようとする気持ちがここでも、ムガリッツでもあったけれど、若干日本を勘違いしているのは、「ブレードランナー」の頃から変わらないですね。

私たちの席でいつもステキな笑顔を振りまいてくれていたのは、この写真の右手の男の子。はにかんだ笑顔がかわいいんですよー。この日はパリ祭の日だったから、この田舎町でもなにかイベントがあるのかと思ったのですが、何ら変わらず。「パリでは花火が上がるよ」と教えてくれました。パリ祭だからか、家族三代で来ているお客様もあり、私も少しだけパリ祭の雰囲気をいただけました。

そうそう、歩いて2キロほど先の大きなスーパーに行ったんですよ。そうしたらエスパドリーユが5ユーロだったんです。定番の白を二人で履いて、るんるん気分の足下です。もっと他の色も買っておけば良かった。

二日目の夕食。前日のコースの量が多く、メインは1品でいいねということで、26ユーロのコースを選択。これは料理も決めうちなので、ふたりとも同じものを食べました。まずはアミューズ。

前菜は、根菜を中心とした野菜仕立てのもの。

そしてメイン。

今日もデザートを食べる頃になって日が暮れていきます。すてきやん~。雲が遠く感じるよ。

刻んだナッツがのったプディング。ル・クルーゼの使い方がうまいなぁ。こんな風に冷やす料理に使ってもステキなのね。

イケメンオーナー兼シェフのセドリック・ベシャド。デュカスの元で修行を積んで基本のフレンチを学び、バスクの素材を使った料理を提供することにしたんですって。料理の腕もさることながら、古民家を買い取ってここまでセンスのあるオーベルジュを若くして作り上げるとはすばらしい。

最後にいつもチョコレートがでるんですよ。でもお腹がいっぱいで食べられないんです。ここでもまた朝ご飯の時のようにナプキンをくれというと、「なんで?」と聞くんです。「部屋で食べたいの」の言うと、「皿ごともっていけばいいよ」とのこと。オーベルジュならではの当たり前と言えば当たり前のサービスに、これまたすてきやん♪と思いました。

フランス側のバスクに行かれる方は、ぜひぜひ海から少し離れたこの丘の上のオーベルジュにも止まって欲しいです。

オーベルジュ・バスクのホームページはこちら

【バスクへの旅その9】L’Auberge Basque(オーベルジュ・バスク)で優雅な山のバスクを満喫 前編

フランス側バスクの一番西にある町「サン・ジャン・ド・リュズ」からタクシーで20分ほどの丘陵地帯に、このオーベルジュ・バスクはあります。オーベルジュとはフランス語でレストラン付きの宿泊施設のことで、ハネムーンにぴったりな宿泊施設が付いたすてきなガーデンレストランです。レストランも一つ星。宿泊客ももちろん食事を取りますが、車で来訪するお客さんも含めるとディナーはほぼ満席。何冊もバスクの資料を引っ張り出していたときに見つけたとっておきのオーベルジュです!

食事中心の後編はこちら

お庭はどこまでが敷地?と言うほどの広さで、とても大きなプラタナスが何本も植わっていて緑豊か。そこに白壁のオーベルジュ。ここに古くからあった民家を改造して造ったそう。1階はフロントやくつろぐスペースとレストラン、それにバーが併設されている。2階は宿泊施設で部屋のデザインがそれぞれ違うらしい。もちろんこの庭に面している2階の部屋が一番に良い部屋で、1泊食事なしで250ユーロくらい。食事は比較的リーズナブルな値段で提供されるから、この値段でハネムーン滞在だったらお得なんじゃないだろうか。

いや、ですけど、しかし、私たち女二人がそんなステキな部屋に泊まれるかというと、もちろん泊まれません。そんな金銭的余裕ありませんしっ!

このレストランの正面入り口の左側に別棟があるのですが、その別棟の1階の一番手前の黒い扉のある部屋、それが私たちの部屋です。この棟は1階の奥は団体のお客様がビジネスミーティングに使えるような広い部屋と倉庫、2階はスタッフ部屋でした。私たちの予想では、このオーベルジュのオーナー向けの仮部屋としてこの部屋を作ったけれど使わなくなったから安い値段で宿泊させようってことになったんじゃないかと踏んでます。なんと1泊90ユーロ!この円高を考えるとひとり5000円しないで優雅なこの場所を満喫できるのです。ここに2泊できる空室日程をベースに旅程をくんだくらいです。絶対この部屋お得だって。

でもこの西向きのお部屋すごくいいんですよー。前にはスタッフ以外誰も入ってこない前庭があって、そこまで段差もなく扉が開かれていて、心地よい風がながれてくるんです。ドアを開けたまま昼寝していても時折スタッフが通る程度で誰も来ません。一応、反対側の廊下に続くドアもあって鍵もあるのですが、外のドアを開け放しておいても危なくないし、むしろそういう過ごし方をスタッフがオススメするかのように、スタッフは用事があるときは庭から顔を出します。よく考えたら部屋には電話なかったしw。スタッフには子持ちの方もいるようで、滞在中この前庭に子供用のブランコとプールを作り始めました。ここはスタッフやその子供たちとコミュニケーションを楽しめる場でもあるかもしれないです。

部屋はコンパクトで、キングサイズのベッド、それに大きなクローゼットがひとつ、小さなテーブルとベッドサイドテーブル付きです。このあたりはまわりになにもないので、ネットがつながりにくかったのですが、ここのwifiがあって助かりました。

ウェルカムドリンクは飲んだことがない甘い味がするフルーツジュース。ちょっと発砲していて移動で疲れた体の血糖値を上げてくれます。手作りなのか、それぞれの瓶の量が違うのがなんともチャーミング。それにサン・ジャン・ド・リュズで有名なマダム・アダムのマカロン!素朴な味のするマカロンとこのジュースにほっとします。

寝室の面積に対してバスルームの面積には余裕があるのですが、ここはバスタブがありませんでした。替わりにシャワーは妙に充実していて、天井から直接じゃーっと流れるシャワーがあったり。置かれているソープやシャンプーはどれもとってもとっても良い香りがして、使っているだけでオーガニックなフランスっこになれましたよ(あんまりそういうのわからないんだけど)。

正面の庭(私たちの前庭じゃなく)からの眺めです。なだらかに続くフランスバスクの山並み、雲から差し込む光はヨーロッパの夏を感じます。こんな風景がほぼ独り占めです、だって誰もいないんだもん。

途中、ザッと夕立が降った後、この丘に虹がふりそそぎました。いや、もう宗教とかよくわかんないんですけど、天使が舞い降りてきそうでしたよ。それくらい神秘的で大騒ぎしちゃうほどなのに、私たち以外この庭に出てくる人はいませんでした。いや、自分の部屋のテラスから見ていたのかな。

次回はここの食事について書きますー。

【バスクへの旅その8】ビアリッツのマルシェは食材豊富!バスクの魅力がここに。

バスクのフランス側の港町「ビアリッツ」のマルシェはフランスバスクの食材の宝庫。町のほぼ真ん中に魚介系の棟と野菜・加工食品系の棟、そしてそのまわりにテントが張り巡らされ、こぢんまりしてはいるんだけれど、食材は新鮮で豊富なんです。ヨーロッパに行くとたいていの町には大なり小なり市場があって、その町の食材が手に入るんだけれど、フランスの市場=マルシェとなると、なぜがぐっとおしゃれにみえる。テントの色の配色、飾られた植木の花、商品の並べ方、路駐されたバイクまで急にフランスだから不思議。

日本ではなかなか見かけないアーティチョークも大きさ違いでたくさん置かれています。瓶詰めじゃないアーティチョークが食べられる季節だったのに、結局食べずに帰ってきてしまった。日本でも栽培する農家が増えればいいのになぁ。需要はあると思うんだけれど。

くるみ。その篭に、そっとスイカを置く彩りのセンスがすばらしい。スイカ売り場は別にあるわけで、意図的においているんだから、もうまいっちゃう。

生のアーモンド。この状態で買ったあと、どうやって果肉を剥くのかなぁ。殻付きのアーモンドのうまさは格別だから、生のアーモンドもきっとうまいにちがいない。

日本ではあまりみかけないルバーブも発見。5ユーロ/kgは、この市場ではお値段高め。あまり赤くないけれど、煮ると赤くなるのかなぁ。次の街のホテルで食べたナッツ入りのルバーブジャムおいしかったなぁ。すっぱいものが比較的苦手な私がこのルバーブだけは好きなんだよなぁ。

茹でたシャコ。並べ方がおしゃれだよね。日本でもシャコはよく食べるけれど、こちらではどうやって食べるのだろう。日本のシャコはキレイに剥いた状態をプラスチックのケースに並べてあるから元々の大きさがよくわからないけれど、これは大きい方なのかなぁ。

ホタテ。ホタテをこうやって赤い部分を残したまま並べる習慣は日本にはないよね。最初何かと思ったよ~。

加工肉のお店ではさまざまな種類の生ハムを売っている。手に持って食べられるように売っているんだけれど、これがたっぷり入っていてうまい!しかもたったの2.5ユーロ。ビールが飲みたくなるけれど、朝だから我慢したよ。にしてもこのお店のお兄ちゃん、ブルース・ウィルスに似てる・・・。

この町からほど近くにあるイッツァスーと言う村はさくらんぼが名産で、ジャム(コンフィチュール)やジャムの入ったガトーバスクがたくさんおいてある。ジャムは大きめの瓶で4ユーロとこのあたりの相場を考えると少し高め。でもそのあと日本に戻って、ちゃんとしたところでフランス産のさくらんぼのコンフィチュールを買おうとしたら1000円超えだったから、決して高くないし、このマルシェで高いものなんてほとんどないってことがよくわかる。でも今年はこのさくらんぼが不作らしい。

さくらんぼジャムと赤ピーマンの瓶詰めも購入。瓶詰めばっかり買っていて荷物が重い。

マルシェ前のデリはちょっとお値段高めだけれどおいしかったなぁ。良い感じにへたったマルシェバッグをもったおじさんがいたので「バッグ、ステキね」なんて声かけたらここに長期滞在している日本人だったもんだから恥ずかしかった~(つたない英語でしゃべりかけたことも、フランス人じゃなかったことも)。あんな風にマルシェバッグにリーキとかフランスパン(もちろん紙袋なし)とか刺して歩いたらそれだけでテンションあがるよなー。外食節約のためにここで3品とビールを買って部屋で食べたら、下手なバルよりよっぽど幸せだったよ。アパートに滞在して料理しながら暮らすのも楽しいだろうなぁ。

パテやフランスっぽいサラダやキッシュ、見ているだけでワクワクしちゃうんだよね。

どこの国に行ってもなるべく市場には訪れるようにしているのだけど、よく考えると日本は一般公開された市場は少ないほうかもしれないな。六本木や恵比寿の広場でマルシェっぽいものをやっていたりするけれど、おしゃれとオーガニックに偏りすぎていてぜんぜん大衆的じゃない。

そう考えると去年訪れた、燕市の三八の市はよかった。三と八の付く日にやるから「三八」。地元の野菜や魚、加工食品が歩行者天国にした商店街にずらりと並ぶ。レンコンだけの店、豆餅を扱うおばあちゃん、正月の昆布巻き用の昆布を扱う店、はたまたもんぺばかり取り扱う店。地元のものが良心的な価格で道ばたに並べられている。残念なのは店数は減る一方らしく、行商のおばあちゃんも腰がまあるく曲がった高齢のかたばかりで、衰退の一途をたどっている。お客も年配層が多く、大型スーパーに推され気味みたい。

こういう良いものを扱う地方の市場をヨーロッパの田舎町の市場みたいに活性化させたいなぁ。食は豊かでありたい。なんて遠くフランスの地のマルシェに思いを巡らせました。

【バスクへの旅その7】サン・セバスティアン「Mugaritz」の★2ランチ 理解不能

長らくお休みをしておりましたこのブログですが、やっと文章を書く気力も戻ってきましたので再開しますー。去年の夏に訪れたバスク、今さらなのですがぜひぜひみなさんに訪れてほしいのです。

【バスクへの旅その6】はビアリッツだったので、サン・セバスティアンにもどります。この旅の目的の一つでもあった★2つのレストラン「Mugaritz(ムガリッツ)」へ訪れた時のことはいろいろな意味で一生忘れられない思い出です。場所はサン・セバスティアンからタクシーで15分ほどの日本で言うなら「里山」のステキなところ。こんなところに星付きのレストランが!という感覚は、日本でも流行っている鶴岡のアル・ケッチャーノや弘前のダ・サスィーノみたいな感じでしょうか。そうそう、こういうレストランの標識はイタリアでもよく見かけましたが、ちゃんとした交通標識です。たぶん。イタリアではそうだったので。

一軒家レストランは広大な敷地で、店の広さの5倍くらいの大きさの駐車場を構えています(みんな飲酒運転なのだろうか・・・)。2階は従業員の宿舎のようです。敷地には花やハーブや野菜がたくさん植わっていて、見たことがない種類もたくさんありました。ステキな一角なんですけれど、天気が今一つで、カラッと青空だったらどれだけステキだったでしょうか。

ヨーロッパのちょっといけてるレストランに行くとよくあるのが、日本かぶれ。日本じゃ好まれないあのフォント、どこからもらったのかとおもいきや日本の料亭でした。もうちょっとセンスの良い物あげればいいのに。

ランチの予約は13:30でしたが、私たちの到着は一番。この部屋で飲み物を飲みながら待たされました。予約の時間になってもなかなか別棟の店内には案内されません。でもこういうゆったりした流れにいらいらする人もいないし、みんなせかせかしたスケジュールを立てたりしない。スペインってそんな国です。日本人は見習いたいけれど、もう血が違うんですね。

店内に案内されるととっても広く、日本だったらついつい3倍のテーブルをいれてしまいそう。そこにおもむろに2つのカードが。ちゃんと日本語で書かれています。

「150分反抗してください」

「150分委ねてください」

またきたよ、日本語かぶれか〜と思って中を開けると、

「不快、動揺、苛立ちに反抗する150分 苦しみへ反抗する150分」

「感じ、想像し、発見する150分 瞑想の150分」

日本にかぶれた人が辞書を引きながら書いた日本語だから意味が分からないんだと思い、英語版ももらって、iPhoneで辞書を引きながら読んでみてもまったく同じ内容。はて?と言う顔をしていてもウェイターは意味ありげに笑顔を浮かべるだけ。とりあえずよくわからないけれど食事に入ることにしました。

「手で食べるのはイヤじゃないか」というので、「問題ないよ」と言うとしばらくカトラリーを使わない料理が。ちなみに渡されたメニューには18品載っています・・・。

最初の一品。写真の上が「Refreshing “bulgur” drink」。まるで米のとぎ汁・・・。ちょっと塩味がついています。氷が溶けるのでいつまでも飲み終わらずなかなか下げてもらえませんでした。出だし「ええ?」って感じです。bulgurとは乾燥させた小麦のことのようです。

写真左は、大きくならないうちにもいだキュウリ。これはとってもフレッシュで旨みが凝縮されていておいしい。調理をしないのも調理なんですかね。

写真右は「An envelop of flowers」。オブラートの中にたくさんのお花と甘いピーナッツクリーム。どうやって食べていいのか聞くと、そのまま口に運べとのこと。でも中が見たくて開けてみました。まさに今摘んで入れたというようなお花がたくさん詰まってる。オブラートに包む事で口に入れた瞬間に鼻に香りが抜けるんです。そういや去年閉店して話題になった★3つの「エルブリ」の映画を観たときに、このオブラートの話しが出てきて、「日本ではこれに粉薬を入れて飲むらしい。それをヒントにして料理を作ってみたよ」と話していたな。ここのアンドニも彼から影響を受けたのかもしれないなー。そんなわけで日本人である私は料理としてオブラートをすんなりと受け入れられません。

「Grilled pueraria focaccia」。帰ってきてからわかったことですけれど、プエラリアと言うマメ科の植物の花を使ったものみたいです。パリパリしていてあんまり味がなく、はて、これはなんのかしらと思いながら食べ終わってしまいました。

ムガリッツどうだった?と友達に聞かれると「石ころを出す店だよ」と言うと一番わかり易いのでそう答えるようにしています。それがこれ「Edible stones」。石ころだけでなく、砂も食べられます。「これ食べるの?」と言う顔をしている時のウエイターのドヤ顔がたまりません。

かじるとこんな感じ。ホクホクの新じゃがを甘いグレーのコートで覆っています。マヨネーズソースでいただきます。まぁここまでの料理が手でいただく料理なのですが、「おいしい」と言う感想より「なんじゃこりゃ」と思うことが多く、最初のカードにあった「不快、動揺、いらだち」がこの意味だったとよくわかります。それにそのまま反抗していいようなので、無理して「美味です」なんて言うつもりもなく、お客へのサプライズを喜んでいるんだなと思うことにしました。

ここからは比較的まともな料理が多く、この「Homemade mozzarella, whey emulsion infused with smoked black tea」はもっとたくさん食べたいと思いました。スモークした黒いお茶でホエー豚のお乳をモッツァレラにした?・・・。英語がよくわからずスミマセン。。。ちなみに一緒に行ったやまぴーはせっかくおいしいこの料理を思い切りこぼして、子供のようにテーブルクロスを二枚重ねにされていました。あわてっぷりがかわいかったなぁ。

「Daily flowers stewed with codfish」。たぶんゆりのような花だと思うのですが、そのユリの花をパスタに。旨味はタラ。ユリの花の天然の甘味がうまおいしい。

「Over a gelatinous pine nut cream , glutinous codfish and mastic resin」。なんだかよくわからないので後で聞くと、タラの腸を柔らかくし、松の実のソースを添えたものらしい。タラの腸までたべるところはさすがタラ文化の国だなぁ。日本もタラ文化の国だけれど、腸はどうやって食べているのだろう。

順番に厨房に案内してもらいいろいろと説明してもらう。テレビで何度も見たアンドニが当たり前のように腕を振るっているではないか!ここにずっと来たかった思いを切々と語り、一緒に写真を撮ってもらいました。日本は大好きなようで、交流のある日本人シェフもたくさんいるよう。スタッフは総勢35人で、日本人もひとりいるようで日本語で案内もしてくれました。アンドニは笑顔を絶やさず、どの人にも親切、丁寧。哲学的な料理が多かっただけに堅い人かとおもいきや、フレンドリな人柄にびっくりしました。一昨年厨房が火事で燃えてしまい、再建したそう。左に移っているのはチーフ。

「Fresh herbs. Mortar soup made of spices, seeds, and fish broth」。すり鉢のようなもので、ゴリゴリと自分でスパイスをすらされ、そこに魚介系のスープを注がれる。自分ですることでそこに漂う香りを感じ、そしてスープを注いだときの変化も楽しんでほしいというところかしら。ラーメンのダブルスープのようなものか?(なんて安っぽい表現だ)


「Line Cheese with chanterelles」シャントレルと言う変な形のキノコにまぁるいチーズ、そしてほんの少しの岩塩。うまいんですけど、この微妙なあじわいを私は感じとれていない気がする・・・。そしてこの杉の新芽みたいなのはなんだったんだろう。

 

「Shhhhhh…cat got your tongue」なんなんだこのメニュー名。。。またしてもシェフのドヤ顔が浮かんでくる。これもまたカードに書かれていたイラダチなのかー。まるで鳥の巣か枯れた草のようなんだけれど、実はオニオンフライで、そこにたっぷりとタンのスープを染み込ませてあるので食べた瞬間に口いっぱいにタンを感じるんです。この感じはカード二枚目の「発見」なのかもしれないなぁ。


「Silky bread stew , infused with pink geranium」蟹肉の下に、おそらくお麩なんだじゃないかな。そしてゼラニウムの香りがします。ハーブの畑によくゼラニウムが食用として植えられているのを見ますが、実際に料理に使われているのは初めて。この香り、慣れません。

「Grilled white tuna fillet , with “piparras”」ホワイトツナがどんな魚か具体的にわからなかったんだけれど、マスか何かじゃないかなぁ。半生で、その上に玉ねぎとししとうのペーストが乗っています。ししとうは中の種の部分はペーストにせずに乗せられているあたりがおしゃれ?

「Piece of beef , grilled steak emulsion and salt crystals」この店に来てはじめてシンプルな焼いただけの肉が出てきたよ。ただこのシルキーな舌触りの火の通し加減にどれだけの努力を費やしているかはわからず。素直にうまい。

「Iberian pork tails , crispy leaves and toasted sweet millet oil」イベリコ豚のテールの肉をパリっとでも口にまとわりつく感じ。北京ダックの皮に影響されているのかなぁ、にしても中華っぽい。イベリコ豚のうまみがここに凝縮されています。

品数が多すぎて、メニューをもらった時点で「わわわ」と思い、途中で少なめにしてもらいました。おかげで二品スキップしたようです。さてここからはデザート三品・・・。スペイン人の胃袋はどうなっているんだろう。

「A cup of chamomile dressed with a cocoa nectar. Candied fruits from the market」カモミールの風味のアイスにココアのソース、それにもものドライフルーツが入っている。このドライフルーツがいつまでも口にへばりついて不快。

「Broken walnuts , toasted and salted, cool milk cream and armagnac jelly」

まるでクルミみたいなんだけれど、実はミルクチョコでその中にはお酒の効いたゼリーが!でもクルミの中身もあしらわれていて、驚きがたくさん隠されている。

「Nails and flower」

ちっちゃなソフトクリームなんだけど、さびた釘が刺さってる!もちろんぜんぶ食べられます。下に惹かれた砂利も含め。

これで料理はフィニッシュ。でも本当は18品あったよう・・・。日本人の胃袋ではこの品数はいけません。この日のメニューはこんな風にあらかじめ渡されるのですが、私のメモと、アンドニ、料理主任、日本人スタッフのサイン入りで一生の思い出に(くちゃくちゃだが)。このメモがなかったらこのブログかけませんでした。

ここで最初に渡されたカードについて思いを巡らせてみることにしました。

「150分反抗してください」
「不快、動揺、苛立ちに反抗する150分 苦しみへ反抗する150分」

「150分委ねてください」
「感じ、想像し、発見する150分 瞑想の150分」

確かに「なにこれ?」とか「わけわからない」とか「食べにくい」とか反抗し、その中で「こういうのは初めてだな」とか「どんな風に作っているのだろう」とか瞑想したなぁ。ただし150分じゃないです。ランチですが210分。お店を出たのは17時過ぎです。ちなみにディナーは20時以降。

スペイン料理って伝統的なパエジャやフリット、ピルピルは浮かんだけれど、それとはまったく別のもので(日本だって懐石とうどんはぜんぜん別だもんな)ここではなんでもアリな気がしたよ。箸が出てきて竹の器に入っていても誰もびっくりしないだろうよ。これは映画「エルブリ」をみてもまったくそう思いました。

そしておいしさを求めているんじゃない、驚きとか発見、未踏の地へ連れて行く料理。だから「おいしかった?」って聞かれても「うーん、びっくりしたよ」と答えることにしてます。世界の食通どもはこんな驚きを期待しているんだなぁ。私はバル巡りの方がずっとおいしくて楽しかった庶民ですが、それでいいや~と思いました。