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青森、三厩(みんまや)の秀鮨のマグロやおもてなし 10点

長らく体調が振るわず休職していたのですが、夏を前にやっとこさ復帰できました。その復帰を自ら祝ってずっと行きたかった青森県津軽半島突端の三厩(みんまや)に寿司を食べに行って来ましたよ。

向かうはもちろん「はやぶさ」で。乗り心地もよく、新青森駅まではすいすいと行ってしまいます。新青森駅にたまたまE5系がふたつも止まってましたよ。かっこいい!、鼻が長い!

 

新青森駅からは津軽線で蟹田駅、たった一両の車両に乗り換えて三厩駅まで向かいます。このたった一両の車両がのんびりなの。日に三厩までは5往復しかしていないし、お客さんは11人しか乗っていない。自分でスイッチを入れる扇風機がいいんだよねー。

 

 

こんな落書きがあったりね。

 

三厩駅からは100円の循環バスが龍飛岬まで往復していて、ここで降りた人のほとんどは三厩の集落を通りすぎて竜飛岬まで行ってしまうようです。私たちはこの町にはもうひとつしかない「龍飛旅館」に宿泊。目の前の中浜海岸はとてもきれいで散歩やテントを張る地元の人しか見当たらない。かもめの数のほうが100倍は多いよ。北にはすぐそこに北海道が見えます。

 

港の船にはイカを釣るための大きなライトや豊漁を願う旗がなびいていて情緒あります。この旗、調べたら山形県鶴岡市の龍澤寺という漁業関係者がお参りするお寺らしい。

 

これは海底に沈める魚のマンションとのこと。なんともかっこいいぞ。

 

梅雨の雨がしとしとと降る早朝。カラスだって寒そう。

 

さてさて、秀鮨について。もとい三厩について。

大間のマグロって聞きますよね。ブランド化して高騰しています。でもマグロは津軽海峡で泳いでいるので、他の港に上がっても同じマグロです。この三厩(みんまや)は、下北半島の反対側、津軽半島の突端にある小さな漁村で、三厩のマグロが驚くほど安く食べられる上に、心あたたまる、寿司屋なのにまるでスナックに来たような(笑)おもてなしを受けることができます。町にはこの店しか寿司屋はありません。
メニューはセットで選ばず、おまかせで海の幸、山の幸を出してもらいました。量は食べられないので少しずついろいろなものを、そして最後にはマグロの握りでしめたいとだけお願いしています。

青森の幻のお酒「田酒」も山ほど飲み(となりの常連さんごちそうさまです)、結果的にひとりあたりの料金はあまりにも安くて申し訳なく思うくらいです。

突き出しは、漬物、ネマガリダケとひじきの煮物。

つまみ第一弾は、マグロの刺身。赤身ともう少し脂の乗った部分、そして中トロ。口の上でまるでシルクのような感覚。あまりにもおいしくて最初から言葉を失います。

 

続いて、心臓部分二種。馬肉のような味でにんにく醤油でいただきます。心臓上部のポンプ部分はコリコリとした歯ごたえ。こんな珍しい部位が食べられるのも一本で買っているからこそです。

 

水槽から取り出したばかりのアワビとツブ貝。アワビ、コリコリとしていて旨味も強くなんてうまいのかしら。

 

山の幸より、ギョウジャニンニクの醤油漬け。三厩は海を目の前にしながら、山が真後ろにあり、海の幸も豊富なんです。食生活が豊かなんですね。でもスーパーや病院は少なく、車で青森市街までまとめて買い出しに行くそうです。

こちらはネマガリダケ。こちらの人にとってたけのこといえば夏のネマガリダケだと食彩の王国で言っていたな。やわらかくてポキポキとうまいのです。

 

イカ刺し。漁村にはたくさんのイカ釣り漁船がとまっていました。新鮮でうまい。子持ちヤリイカの焼きは、子持ちの部分がまるで米粒のようで、まわりは香ばしくてカリッとしてながらも、子持ちの部分がねっとりしていてすごくうまい。マグロの胃袋は甘辛く佃煮で。酒の肴にびったり。ツブ貝は壷焼きで。ツブ貝は生より焼いたほうが好きだなぁ。

 

 

夏の短い期間が旬のキタムラサキウニは目の前の海で取れるそう。その場で割ってもらってスプーンですくうと身は小さいながらも海の塩辛さとウニの甘み、新鮮だからすぐに口では溶けません。贅沢すぎます。
その場で割ったものではないウニも、ミョウバンを使っていないので不自然な味がしません。こんなにうまいウニはひっっっさしぶりです。かきこんで食べたかった。ウニをたくさん食べたい人は電話で事前に言ってほしいとのことでした。次回夏に行くときはきちんと連絡しよう。

 

 

子持ちヤリイカの一夜干し。丸かじりするとやわらかくて、中からぷちぷちと卵がはじけてすごくすごくうまい。

 

 

マグロの胃袋の佃煮。

 

ツブ貝の壷焼き。

最後に握りはマグロ三種と巻物、それにウニの軍艦。大トロは脂が安っぽくなくなんとも言えず幸せな溶け心地、口の中で酢飯と相まって最高の最高の時間を提供してくれます。あまりにも美味しすぎて次の日の予定を変更して(弘前に戻って岩木山に登ろうかと思っていた)昼も食べに来てしまいました。こんなにうまいマグロはたべたことないかも。いや、あるのかもしれないけれど、1万円以上は払うような寿司屋で出会った記憶しかありません。このマグロは酢飯と一緒に食べた方がうまいような気がするな。三厩最高!

 

おみやげで巻いてもらいました。おやつにぺろりといただきました。

 

 

この店は、もちろん安くてうまいマグロや地魚や山菜が食べられることはもちろんなのですが、ここのご夫婦のホスピタリティがすばらしいんです。おいしいものを食べてほしい、三厩のいいところを知ってほしいという気持ちがあふれ、時間が許す限りあらゆる方法でプレゼンしてくれます。例えば、今まで採れたマグロや山菜の写真を目の前にあるテレビにパソコンから写真を映しだして見せてくれたり、自作のマグロの絵はがきやマグネット、アワビで作った携帯ストラップをプレゼントしてくれます。私はなぜかネット通販で買ったターコイズのピアスをもらいました(なぜ?)。さらに次の日に観光にも案内してくれました。そして、一緒に飲んでくれた地元の方々、ホントに楽しいひと時をありがとうございました。田酒うまかったです。あまりにも田酒がうまくて、田酒の前掛けを新青森駅で買ってしまいました。

三厩はちょっと不便です。とは言っても、はやぶさが開通して便利にはなったと思います。東京から9:36のはやぶさに乗っても三厩着は15:00です。津軽線の三厩駅は津軽半島の終着駅。一日に5本しか走っていませんが、駅前の100円循環バスで町まで行ってくれます。宿は龍飛旅館一件しかありませんが、秀鮨から送り迎えしてくれます。目の前の中浜の海岸は南国みたいなキレイな海岸(多分そんなふうに見えるのは夏だけ)だし、高台にある義経寺まで登れば湾全体が一望できます。義経寺ではアオゲラの群れに会えました。バスで龍飛崎まで行けば、津軽海峡冬景色の碑と石川さゆりの歌声(龍飛崎が出てくる二番)が大音量で聞けますよ。珍百景で有名な階段国道も笑えます。

新幹線が函館まで伸び、さらに三厩まで便利になった暁には、この三厩マグロと秀鮨のホスピタリティは今よりもっと流行っちゃうんじゃないかと思います。みんなに知ってほしいという気持ちでこの記事を書きながらも、変わらず地元に愛される今のままの秀鮨であってほしいと思うばかりです。また遠くないうちに遊びに行きますので、三厩の皆さん、また遊んでください。

 

 

最後に龍飛岬にて、マグロを担いできたぜ!気分はハトヤw

 

秀鮨
青森県東津軽郡外ヶ浜町三厩新町35
0174-37-2856

下北沢「魚真」の季節の魚 9点

梅ヶ丘の「ビストロ・クルル」の店主と、この近辺の魚屋はどこがいいかという話になったときに、経堂の「魚真」が良いと教えてもらいました。この魚真、何店舗も展開する魚を中心とする居酒屋を経営していて、その味もなかなかとのこと。さっそく立て続けに下北沢の店舗に二回行ってみました。余震が続く中で下北沢の街もいつもの活気がなかったのにもかかわらず、この店は予約のプレートで半分以上が埋まっていました。きっといつもは予約なしでは入れないんだろうな。安くて旬のお魚が食べられる使い勝手の良い居酒屋です。

刺し盛り二人前は確か1500円くらいだったはず。4月の頭は、金目、鯖、かつお、アジ、ボタンエビ、タイラギでした。

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5月の頭に行ったときの刺し盛り二人前は、金目、ヒラメ、赤身、ボタンエビ、いわし、鰆、タイラギでした。鰆うまかったなぁ。いわしも脂が載っていてうまかったなぁ。

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4月の頭に行ったときに食べた、子持ちヤリイカの焼いたものは、この時期ならではの濃厚な子供とハラワタが絶妙。春はやっぱり子持ちヤリイカだよなぁ。

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好きな魚を三つ選べと言われたら、「ノドグロ」「キンキ」「金目」と答えるつもりなのですが、その「ノドグロ」があったので煮付けに。2680円とこの店一番の高級メニューでしたが、ノドグロの値段を考えれば当然。味は若干濃すぎでしたが、この味付けにも負けないしっかりとしたホロホロとした白身がうまい、うまい。気品を感じます。次回はとなりの「すしや魚真」でノドグロの握りを炙りで食べたいなぁ。

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もうひとつ、この店ならではのメニュー、ホタルイカの沖漬け。生のホタルイカもボイルしたホタルイカも良いけれど、沖漬けは酒が進むよね〜。

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諏訪に訪れている後輩とツイッターで舞姫の「翠酔」の話をしたばかりだったので、さっそく注文。ひとり2合とビールのんで、ひとり4〜5000円だからコストパフォーマンス良いです。渋谷、新宿、乃木坂、吉祥寺にもあるようなので機会があれば他の店も行ってみようと思う。宴会メニューも安くて便利そうだから複数人数も悪くないよなぁ。

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西荻窪「食べごとやのらぼう」の野菜中心のおもてなし料理 10点

ずっと行きたかった西荻窪の「のらぼう」へ。最初に言っておきますと、この店の料理、おもてなし、雰囲気、インテリア、私好みで10点です。こういう店を探していたんだよなぁ。

今回はアラカルトでなく、いろいろな料理がすこしずつたべられるコースメニューの「の」で。「の」は一番おてごろ価格の3500円。でもボリュームは十分。まずはお通しで「法蓮草のナムル」。ほうれん草は三鷹産とのこと。ほうれん草だけでなく、にんじん、豆もやしもたっぷり。一口食べた瞬間にぐっと引きつけるこの味付けはなんだろう。ごま油と塩コショウ、みりんだけではこの味は出せないはず。席には春を感じさせるこでまりの花が。私の家でも使っている柳宗理の醤油差し、センスのいい楊枝、馴染んだカウンターに白の食器が生える。このお通しの器はなぜか野球選手の柄だった。使い込んであって手に馴染んで器もいい。気になるのは段ボールで作られたメニュー。うまいことこうやってつくるよなぁ。

奥がスペアリブと大根のあっさり焚き。手前は初鰹のたたきサラダを新たまねぎで。私の座った席はカウンターの火を使う厨房の目の前で、料理が出される課程をずっとみることができました。スペアリブと大根は煮こんでタッパーにしまったものを温める分だけ蒸し器に入れ、取り出す1分前にプティベールを投入。スペアリブは箸をそっと入れるだけで身がホロホロと外れるほど柔らかく、三浦大根は驚くほどやわらかくやさしい。出汁も一滴残さず飲み干しました。

初鰹は焼津の物。私は冷えて冷たすぎる刺身が嫌いんだけれど、ここの刺身は常温。ここだけでグッと気に入ってしまった。この時期の新たまねぎは甘くてうまいです。

地野菜とお豆腐のサラダ。何品目入っているのか聞いていたところ、20はあるんじゃないかとのこと。私がわかったものだけ並べてみました。

生野菜

  • 大根
  • レタス数種
  • ネギ
  • インゲン
  • ブロッコリー
  • 水菜
  • 妙に葉が起毛していた野菜(よくデパ地下でみる)

揚野菜

  • レンコン
  • さつまいも
  • にんじん
  • ごぼう

フルーツ

  • いちご
  • グレープフルーツ
  • キウイ

その他

  • おじゃこ
  • 豆腐

このサラダが驚くほどうまい。味付けしているカウンターを見ていると、下ごしらえした野菜にみりんのようなもの?で敢えてから豆腐とおじゃこを載せ、たっぷりとゴマのドレッシングを掛けている。揚げチップスは冷凍庫から出していたような気がするな。私も揚げチップスをサラダに入れてワンランク上のサラダを目指したいな。

にんじんとナッツのかき揚げ。最近、私もにんじんのかき揚げはするんだけれど、組み合わせは桜えびにすることが多かったんだけれど、ナッツとは思いつかなかった。このナッツ、おそらくかぼちゃの種ともう一種類なにか入れているみたい。キレイに束ねて揃えてから揚げているのは私もまねしてみよう。にんじんは甘くて味が濃い。いつもついつい安いにんじんを買ってしまうけれど、さほど値段も変わらないんだから、色も濃い土の香りがする人参を買うことにしよう。

衝撃的なおいしさだったごまとさつまいもの玉子焼き。これは目の前で調理していたんだけれど、卵にかなり多めの黒ごま、それにみりん、焼いている最中に蒸かしてざっくりきざんださつまいも。さつまいもと黒ごまって合うんだなぁ。卵焼き器にはたっぷり油を入れて鍋をじっくり温めて、一度油をあけてから調理していた。最後にそっと巻きすで整形していたのも仕事が細かい。

締めのごはんは、牡蠣と牛蒡の炊き込みご飯。これも厨房をのぞき見したんだけれど、ささがきにした牛蒡と牡蠣を甘辛いタレでかなりの強火でワッと煮込み、その煮汁のみでまず炊き、仕上げに上に具材を載せ、菜の花とごまを添える。小粒のしっかり味の詰まった牡蠣を使っていて、炊き込みご飯向き。食べきれなかった分はおにぎりにしてくれた!こういう細かい気遣いがスバラシイ。

その炊き込みご飯を一膳分もってくれたとこおろ。すべてが私好みの器というわけではないのだけれど、普段使いの器を少し欠けても大事に使っているところや、使い込んでこそ味が出る器の使い方、私が大好きな民藝の精神を自然と取り入れている気がした。

一緒に注文した漬物。こんなに品目があるとは。わからない野菜が数多かった。切干大根がお気に入り。

私はもうお腹がはちきれんばかりだったので注文しなかったけれど、具沢山の味噌汁。この味噌汁と漬物とごはんだけでも十分ごちそうだよ。

地の野菜を数多く使って、野菜の旨さを引き出している。野菜嫌いの人にはこういう本当においしい野菜を食べて本当に味のする野菜を知ってほしいな。味は全体的に濃いめだけれど、外で食べる食事はちょっとくらい味が濃いほうがいいと私は思います。

お酒の種類も多く、お酒が苦手な人でも楽しめるようなソフトドリンクのメニューもあり、ただの居酒屋という感じではない。

お店の人のマルチタスクで仕事をさばく感じは、カウンターから見ていると尊敬するレベル。ここまでマルチで仕事が出来れば、料理人じゃなくてもどこでもやっていけます。どの人も白いシャツをパリッと着こなし、清潔感があり、どの人も感じがいい。おいしい野菜を食べて欲しいという情熱が伝わってくる。こういう店こそ私が10点にしたい店です。

難点をひとつ言えば、カウンターの椅子が硬くておしりが痛くなっちゃいました。それくらいかなぁ。

またぜったいにいく!

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銀座「京都花背 石楠花」のすみれコース 8.5点

京都花背の名旅館「美山荘」の中東さんプロデュースの店が銀座にできたというので来訪。「美山荘」には一度は行ってみたいと思っているあこがれの旅館、そしてご兄弟の中東さんが銀閣寺前でやっている「草喰なかひがし」は、ここ数年訪れていないけれど、この店のために京都に通っていたくらい大好きな店です。

この「石楠花」は銀座三越新館の12Fでデパートの上ということもあってさほど高くない。今回は一番安いコース「すみれ」5800円に。まずは一献は「蕗の白和え」。早春の蕗の香り、こんにゃくの食感、椎茸の旨み。そこに京都の日本酒をひとくち。食欲が促進されるひとくちめ。

椀は堀川牛蒡の葛寄せ。上には芽甘草。器もなかなかステキ。上品な白味噌に堀川牛蒡を丁寧におろして葛で寄せて揚げたもの。

向付けは、本マグロと浅ネギ、ウド、そこに辛子味噌、上にはノビル。春を感じさせる野菜たちをうまく使っている。外は寒くても料理はすっかり春です。

八寸は、ウルイと浜防風の和えた物(ガラスの器)、稲荷寿司、鰯の鈍刀煮、砧巻きに柚子味噌、中央の新芽のようなものは福岡の蕾菜、白魚の天ぷら。蕾菜は初めて食べたのですが、春の山菜のようなエグ味はまったくなく食べやすい甘い新芽。今度八百屋で見つけたら買ってみよう。大好きなウルイはほんの少しでもシャクシャクとした食感、春のうまみ、十分感じられました。浜防風ってどんな野菜かなと思って調べたら、たまーにデパートに置いてありますね。これも今度買ってみよう。

焼き物は、鰆の吟醸焼き、海老芋の蒸し焼き、葉山葵。海老芋ってなんておいしいんでしょう。ほっこりねっとりしていて、これひとつでグラタンのような調理されたような完成された味。質のよい京野菜が手に入る機会があったら、私もこんなふうに蒸し焼きにしてみよう。

炊合せは、金目鯛の上に淡い雪のように蕪を落とし、菜の花、わらび、柚子胡椒を添え、餡を添えた物。金目鯛は普通、もう少し皮をパリっとさせて欲しかったな。蕪は何か物足りなかったなぁ。餡の薄さは丁度良かった。

食事は、魚沼産のお米に漬物、蕗味噌。ごはんはひと粒ひと粒が立っていて、炊き方には相当のこだわりを持っていることがわかる。「なかひがし」では煮え端のご飯を出したり、極上のメザシが出たりと、最後のご飯に対するこだわりはかなりあったが、ここはまだまだ。でもごはんはうまかった。

ご飯と一緒に出てきたほうじ茶の器には「高山寺」と書かれていて、鳥獣人物戯画の一幕が書かれていて、私の器は蛙と兎が相撲をとっている。ウィキペディアで調べてその場でわかったのだけれど、こういう説明、お店の人がちゃんとしてほしいなぁ。聞いてもあっさり答えて、そこに突っ込んで話題を提供することもない。

お菓子は金時人参のカステラ。

外はかなり広い席があり、季節がよければ食事もできそう。東京タワーがちょうど見えていいかんじ。

料理は5800円だと思えばまあまあだけれど、美山荘の名を語るのであればなってない。特にサービス、女将はトイレの場所を聞いてもさっさと答えて私がよくわからず聞き直す頃にはそこにいないし、他の店員も含めて空気を読む感覚が普通の懐石レベル。余裕が感じられない。東京の慌ただしいデパート上の懐石料理屋の粋をまったく出ていない。京都の素材を使ったお店の雰囲気はなかなか良い手頃な懐石がいただける店としてはいいと思うけれど、中東さんプロデュースと思って期待していくとがっかりする。厳しい意見なんだけれど、でもこの安さと居心地の良さならまた行ってもいいかな。今回はちゃんと予約して行ったけれど、予約せずにふらりとはいれそうなので、銀座では重宝するかも。そもそも銀座三越新館の12Fが全体的に空いているんだけれど大丈夫だろうか・・・。

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築地「やまだや」再訪してもやっぱり10点

久しぶりに年末に築地の「やまだや」へ。前回訪れたのはしーちゃんの送別会だから、もう4年も前なのね。あの時でもふらりと入れるほどすんなり入れる店ではなかったけれど、今では予約がかなり取りづらい店だと言うからびっくり。でも食べて、ここのおもてなしを受ければそれもそのはず。茅場町に勤めていたときからお世話になっている、今も昔もかわらずおいしい料理とお酒を飲ませてくれる店です。

お通しも手を抜いたりしないのはかわらず。大根と肉団子。お通しの基本は、食欲が増すことだよね。すっかり食べる気満々になりました。赤絵の皿も気分が高まるよね。

4人前の刺し盛り。手前から、寒ブリとサーモン、マグロ。この時期にうまいブリを食べると冬だなぁと実感します。ヤスっぽくないこの脂身のうまさ、黙ってうなづいてしまいました。日本人の舌が好むうまさですよね。

レバームース1つ168円(メニューには5つで840円)。スライスしたパルメザンチーズとミニトマト、イタリアンパセリの葉がにくい。私も刻んだりしないで葉のままのイタリアンパセリでかっこよく演出してみよう。

定番中の定番、野菜いろいろ温サラダ735円。この店に来たら必ずこれを頼まなくてはいけないのだ!ちなみに私はこれをまねたくて同じ大きさのせいろをまねしたくて買って、家でもやっています。タジン鍋もいいけれど、やっぱりセイロが好き。野菜の甘みを出したかったらゆでちゃ行けないのはもうここ数年の料理初心者でも定番になってしまいましたね。

事前に「食べるなら確保しておきますがいかがですか?」と見せられた伊予水軍鶏の炊き込みご飯。こんな鍋を見せられて頼まないはずがない。押しつけがましくなく、食でワクワクさせるこの店のおもてなしはスバラシイ。鶏肉は味が濃く、炊いても風味がご飯に移りきるわけではない。でもご飯にはしっかり出汁が出て呑んだ最後に食べるのに最適!

定番中の定番、手揉みキャベツのアジの開きの和え物630円。アジが釣れすぎたときに私もこのメニューにトライしてみたが、どうもこうしんなりとうまく作れないんだよね。作り方をちゃんと聞いておけば良かった。そうそう、この店は「作り方は教えられません」なんて言ったりしないんですよ-。

これも定番中の定番、やまだやベーコン997円。お腹がいっぱいになってきてちびちび呑みたいときに、こういう肴があるとホント楽しくなります。粗挽きした黒こしょうでいただくのも家で何かでやってみよう。

定番中の定番中の定番、手作りホタテクリームコロッケ1つ168円(メニューでは5つ840円)。これと野菜いろいろ温サラダはこの店に来たら絶対に注文しないと行けないです。このコロッケ、もし後半で頼んで人数分なかったとなると友達の間で戦争になるので、まずは最初の注文時に人数分確保しましょう。と言っても、なくなってしまいましたと言われたことは今まで一度もありません・・・。真四角なのはバットで冷たく冷やして、そのままカットし揚げているからです。さっくりかじるとホタテがゴロゴロ出てきますが、ホタテの数以上にホタテのパワーが強いのはヒモを刻んだものをクリームに入れているからと聞いたことがあります。

私はこの日、体調の関係で本の一口しか飲めなかったんだけれど、みんなが飲んでいた山形県南陽市の鳥上坂という白ワインが、とても興味深かったです。まるでお酒ではないかのような甘みをもち発砲しています。なんと澱(オリ)を集めたワインとのこと。だから一瓶ごとに味がわかるくらい違うそうです。春に庄内に行くから、ワイナリーに行けるかなと思ったら、米沢に近いとのこと。ちょっと庄内から距離はあるけれど、帰りによってみようかなぁ。

何度行っても満足度が高く、常に新しく、常に変わらない。また近い内に行きたいです。

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