私、おでんが大好きなんです。一番好きなのは、日本橋「お多幸」の安くて日本橋らしいなんとなくざっくりした感じのおでん、もちろんとうめしは外せず。「こなから」は、これがおでんか?っていうくらい繊細で、でもちょっと気取り過ぎていてお財布的にも私には合わない。その点、この東北沢の「おかめ」はしっぽりとした大人な雰囲気、たぶん10年後も変わらない佇まい、びっくりするような透き通ったスープ、秀逸なおでん以外のつまみ、財布にやさしいお会計、どれも素晴らしく一度行ってとっても気に入ってしまいました。
だってだってこんな真っ白なおでん、みたことある?関西のおでんはこんななのだろうか。練り物だって入っているのにどうして色が移ったりしないんだろう。スープはこんな色でもしっかり鳥のだしが効いていて塩もしっかり。大根は崩れていないのに中までスッとやわらかく、芯までスープが染み込んでいる。真っ白でふわふわのはんぺんは私好み。ゲソ巻もこんにゃくもうまい。とってもうまい。
豆腐のおでんは、つまり湯豆腐。たっぷりの刻みネギに醤油をかけてくれるのでスープにほんのり色がつきます。ツブ貝はとっても大きくて食べごたえあり、お醤油をつけて食べます。
実はとっても気に入ってしまい、一週間以内にもう一回訪問してしまいました。コの字型に20席ほどあるカウンターなのに全く同じ席だった。
おでん以外のつまみもとっても秀逸。お通しは二人で行けば二種類出てきて、気が利いたつまみが出される。冷たいビールをくくくっと飲むのには最適なお通し。この日はタコの三杯酢や小松菜と揚げの煮浸しだった。
カウンターの予約はできないので、しばらく席があくのを待っている最中、カウンター内のスタッフたちの一挙手一投足を眺めていた。すると揚場でこれはこれは美味そうなカレイが揚がっている。その時見たのは実は身の方ではなく、骨の部分だったのだけれど、かぶりつきたいくらいカリッと揚がっている。これはスバラシイ!と思い、注文するとたっぷりの身が。もちろんこの身の部分もおいしいのだけれど、下に敷かれた骨が塩で食べるとこの上なくうまい。骨はもちろん、尻尾も尾びれも、頭もうまい。残すところなんて少しもない。なのに隣のテーブルの女二人組、これを食べないでいつまでもいつまでもテーブルにおいてある。もしや食べないんじゃないかとハラハラしながら私は先に店を後にした。骨がうまいなんて知らないで大人になったのは、あぁ、かわいそうに。
山芋の磯辺揚げもすばらしい。海苔っていうのは日本人が愛する味だよなぁ、海苔と豆腐のホントの旨さはハンバーガーやステーキが最高だと思っている人種には理解できっこない。
この店が気に入ってしまった裏の理由は、大人の遊びができる店だから。「おでんどれにしようか〜」なんて選ぶのは楽しくてたまんない。せまいカウンター席は2人で来る以外に考えられないし、相手との距離が近いから会話も弾む。そうそう、だから心を許して会話ができない関係の人と行ってはいけないのです。東北沢駅からも5分ほどあり、外に飲み屋もないため人にばったりあってしまうこともない。酔って駅までふわふわと帰る道のりも楽しい。私の家からも程よく近い。そして予約ができないところもいい。予約できないってことはみんなも予約できないってことだから、ふらりと「飲みに行く?」なんて時に使えるわけで、でもそんな店でも条件を満たしていなくちゃいやで、そういう店がほしい年頃なのです。
あーー、楽しかった♪