まるでスナックのような居酒屋「うるま」は、勤め先が茅場町だった頃からなにかとお世話になり、今もこうしてついつい足を運んでしまう店。酒をまったく飲まない人形町の友達とこの店で落ち合っては深夜まで飲んだもんです。そんな友達が福岡の実家に戻ってしまうとのこと。この機会にこの店をレポートします。私のブログにしてはめずらしく、うまくて通っているわけではない店。10点だからって味目当てだけでは行かないで。10点の理由はここの看板ママたちなんです。
彼女がママのるみちゃん。ちゃきちゃきしていてきれいでみんなのアイドル。「適当におでん」とか「適当に串」とか言えば、ホント適当にもってくれるし、うまいこと人の会話にも入ってきていいつっこみをしてくれる。この店のお客がほとんどおじさんなのもたぶん彼女目当て。彼女が焼いてくれる「くりから焼き」こと、鰻を串にまいたものはなかなか。「あら、なによ〜」とピンクの声がたまんない。
テーブル客を中心におもてなしをする「みーちゃん」。って言っても30平米ほどのちいさな店なのであっという間にぱっぱとさばいてしまう。暇になると黄色いコップでビールを飲んでいる。数年前にはいなかったのにこの店に帰ってきたらしい。出戻り?この店いちのおしゃれさん。
大ママの「久子」。昭和元年うまれ。よっぽど混み合わない限り4人テーブルを独り占めし、常にウイスキーのレモン&水割りを、おそらく開店から閉店まで飲んでいるちょっとしたアル中。つまみは決まってチーズ。私たちが「ソーラン節」やら「炭坑節」を歌っていたら、バージョン違いの「炭坑節」を歌ってくれた。この日はご機嫌斜めで、娘ふたりから気持ちのいいほど適当にあしらわれていた。親子でなくちゃこうはできない。
コレが適当にもってくれたおでん。
こっちも適当に焼いてくれた焼き鳥。
この店でたわいもない会話をして、ぐだぐだと過ごすことも少なくなるのかなぁ。前もって約束をしないでもふらーっと飲みに行ってくれる友達がどんどん減っちゃうな。とは言いながらもまだ彼が実家に戻ってしまうさみしさを実感していない今日この頃です。
「うるま」万歳。
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うるま
中央区日本橋蠣殼町1丁目16−9
03-3666-6090
Archive for 11月, 2006
人形町「うるま」の看板ママたち 10点
築地「虎杖本店」の牡蠣うどん 9点
友達の家で見た熱帯魚に影響されて、私も先週から飼い始めました〜。よく考えたらカブトムシやお祭りの金魚以来。まともにペットも飼ったことがないので、こうして自分の家に水槽があるのが楽しくて楽しくてしょうがないです。今日は水槽をもっと水草でいっぱいにしようと銀座の熱帯魚屋へ。その前におなじみの築地の「虎杖」に行ってきました。2004年の記事はこちら。
築地「虎杖」は今では築地に6店舗もあって、カレーうどんや京うどんを出す「本店」と夜はつまみも出す「裏店」、寿司の「喰(くらう)」「築地黒瀬 鮑(ほう)」「魚河岸千両」「東店」。寿司は何回か食べてそれなりに美味しいけれど、数ある築地の寿司屋でこの店を選ぶ理由って言ったら、日曜日で他がみんな休みの時くらいかな。でも、日曜日に行ける築地の寿司屋が増えたことはうれしい限りです。写真は今回訪れた本店。いつもは並ぶほどなのに、雨だったのですんなり座れました。
で、やっぱり「虎杖」って言ったらうどん。今日もいつもの「あなご天ぷらカレーうどん」にしようと思いきや、季節のうどん「牡蠣うどん」1000円なるものが!「虎杖」のうどんは、コシがありすぎるわけでもなく、柔らかすぎるわけでもなくちょうどいい硬さ。スープいわゆる京風。京風って言葉、あまり好きじゃないんだけれど、しっかり昆布と鰹で取った出汁で味付けする繊細な味付けを指すことが多い。この店はもともと京都の錦通り徒歩1分にある店の東京店だから京風の味付けになるのも納得。その出汁に牡蠣のエキスがたっぷりしみこんで海の味のスープになるんです。牡蠣は半生。火が通ってふっくらと膨らみ、実も軽く締まって噛むとジューシー。このうどんにぴったり。柚子と九条ネギの香りもたまりません。スープは最後の一滴まで飲み干すこと間違いなしです。
こちらはいつもの「あなご天ぷらカレーうどん」。このうどんの硬さはカレーうどんにホントぴったり。飴色になるまでじっくり炒めたタマネギが甘くてスパイスが効いたカレーに円やかさをプラスしている。たかがカレーうどん、されどカレーうどん。この奥深さはやみつきになること間違いなしです。
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築地虎杖
東京都中央区築地4丁目9-7 中富水産ビル1F
電話:03-3541-1192
麻布十番「七尾」のコース 9.5点
笑顔がとてもステキなオーナー兼シェフの七尾かつ子さんの日本料理店。温かみのある料理と七尾さんのおもてなしがホーントにステキな店。もうこういう店だ〜い好き。96年5月には「料理の鉄人」にも出演している名店なんだけれど、ここまで至るには七尾さんの並々ならぬ努力が合ったはず。でもそんなことはみじんも感じさせないんです。料理はおまかせコース7000円のみで、軽くお酒を飲んで1人1万円っていうところ。
1品目は、アンキモ豆腐に、生姜、とんぶり、百合根、きゅうり、それに出汁のきいた餡がかかっているもの。アンキモ豆腐が濃厚で、さらに生姜のよくきいた餡によく合うんです。とんぶりのプチプチとした食感、百合根のホクホク、きゅうりのシャキシャキ。口の中でいろんな食感が楽しめます。
2品目手前は、舞茸のフライと銀杏の素揚げ。3品目奥は、ボイルしたしめじと生の柿、そこにお豆腐のソースがかかっているもの。舞茸のフライを口に運んでサクッと割ると、ほわ〜んといい香りが立ち上って秋がいっぱい。アツアツがたまらないです。そしてこれまた旬の銀杏。秋に食べる銀杏は緑色で味も全然違うんですよね。
4品目は、ヒラメのお刺身に山芋の千切り、菊のおひたしを挟んだもの。ヒラメ自体もとてもおいしいけれど、山芋や菊を挟むとヒラメの味を殺さずにさらにおいしくなるから不思議。
5品目は、蓮根の飯蒸し。ご飯には小さく刻んだ京人参。「飯蒸し」と言われて感じがパッと浮かばなく、七尾さんにきいたらすぐにおしえてくれました。器もステキ。
6品目は、えび芋のお椀。えび芋とは京野菜のひとつで、海老のような縞模様をしているからそう呼ばれているらしいんです。まわりのつぶつぶは芥子の実。割るとねっとりとしたえび芋が生姜のきいたスープによく合うんです。具にはカニ身も入りとっても豪華。
7品目は水菜とえのきのサラダ。ドレッシングは適度な濃さなので、スープのように飲めてしまう。上にかかっているのは玄米。8品目の春菊のグラタンの写真を撮り忘れましたが、春菊の強烈なにおいが食欲を増進。春菊をグラタンにするっていう発想がおみごと。
9品目の締めは和牛のステーキ。これで2人分。じゅーじゅー、くつくつとたまらない音とたまらない香り。音は動画でどうぞ。
「料理の鉄人」に出演したときは、「究極の家庭料理」なんて言われていたみたいだけれどとんでもない。何も知らずに食べた人が「家庭料理」だなんて思いもしないはずです。おいしい裏付けは素材だけじゃなく、七尾さんの努力。ただの女性じゃないですよ。見習いたいくらいステキな人です。
この店に出会ったのは、この店から徒歩1分のところにある「備前」という隠れ家的バーにふらりと立ち寄ったこと。この「備前」の店主こそ、旦那様の七尾さんだったんです。「七尾」を締めて「備前」にいらっしゃった夫婦と3時まで飲んだのが始まりでした。「七尾」でお腹をいっぱいにして、「備前」で店主の七尾さんとカウンターで飲むっていうのが王道。1時をすぎればかつ子さんも一緒に楽しい会話で時間を忘れます。冬メニュー、春メニューと食べ続ければ、この店は確実に10点になるな。
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七尾
東京都港区麻布十番1-5-10 第二石原ビル1F
03-3401-7770
日曜定休
新川「デリー」のインドカレー 10点
辛いカレーの紹介なんですが、点数甘めの10点です。私の家のすぐ近く、永代橋から数百メートルの住友ツインビルとダイヤビルの間にあるカレーの名店「デリー」です。この店は上野にある「デリー」ののれん分け。この「デリー」という店はマニアがいるほどの名店らしいんです。カレーって好みがあるから私が10点だからと言って、誰でも10点とは限らないかも。と言うのも、私が初めてこの店を訪れたとき、「これはうまい!」と思ったものの9点くらいかなという評価だったのですが、なんだかこの味を忘れられなくて何度も足を運ぶうちにこの店の魅力に取り憑かれたのか、10点評価になりました。そんなやみつきになるカレーです。
この店の定番は「カシミールカレー」だけれど、いろいろ食べてみて私のお気に入りは「インドカレー」800円。さらさらで色は割と薄く、具は大きめのチキンとホクホクのジャガイモのみ。辛さは「カシミールカレー」ほどではないがかなり辛く、食べ終わる頃には鼻水びーびーになる。でもこの辛さがやめられない。さらさらのカレーはご飯にかけると、スープにとけ込んだ細かーいタマネギがご飯にうっすらとつく。辛さがつらくなってきたら、チーズのせにチャレンジ。これをのせると辛さが半減するので楽にはなるが、カレーそのものの味も半減しちゃうので、そういう味もあるなと楽しむ程度がいいかも。スパイスばっかりのカレーと違って、味わい深さとスパイス加減がいいバランスなのがこのカレーのいいところ。日本人好みのインドカレーって感じかな。
こちらは「コルマカレー」900円。辛さは「インドカレー」より若干マイルド。とろりとしていてフルーティ。
「タンドリーチキンティッカ」400円。タンドリーチキンとは、ヨーグルトにカレーのスパイスを混ぜてチキンを漬け込み焼いたもの。チキンも美味しいが、添えてあるポテトサラダが独特のスパイスが効いていておいしい。
テーブルに添えてあるピクルスは2種類。「アチャール」と呼ばれるタマネギのパプリカ漬けときゅうりのピクルス。
カレー好きの方はぜひ。何回か通うこの店の魅力がいっそうわかります。
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デリー
東京都中央区新川1-28-35
03-3297-8922
日曜・祝日休日
11:00〜22:00
半蔵門「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」のランチ 9点
半蔵門にあるイタリアン「エリオ・ロカンダ・イタリアーノ」へ。14:15がラストオーダーなので遅めのランチでも対応してくれる店なんです。南イタリアのちょうどブーツのつま先に当たるカラブリアという地方の家庭料理を食べさせる店でウイキョウ(フェンネル)や唐辛子を使った料理が特徴らしいです。
人通りの少ない道を行き、店名にもなっているロカンダ(重い木の扉)を開けるといきなりそこは南イタリア。窓がないのに明るい店内と陽気なイタリア人が迎えてくれます。ランチのコースは、1600円と2200円と3800円。私は前菜かパスタを選び、メインとデザートが付く2200円のビジネスランチをチョイスしました。
1品目はパスタをチョイス。その日のパスタは「モンゴウイカのショートパスタ」。肉厚で柔らかいモンゴウイカをトマトベースで味付けし、バジル、パルメザンチーズ、それにおそらくウイキョウの実がぱらぱらとかかっている。この実、フェンネルシードと呼ばれるスパイスで、甘い香りと苦みが特徴。よくピクルスに入っていたりする。時たまハーブの香りが口に広がるので、箸ならぬフォークがますます進んでしまいます。
この日のメインは「宮崎の黒豚のロースト」。上にはアンチョビのソース、炭火で焼いたパプリカと炒めた花ブロッコリー、それにポレンタが添えてある。ポレンタとはとうもろこしの粉で作ったタルトのようなもので、甘く味付けしてお菓子にする場合もあるらしい。黒豚は冷めても脂身が上品で柔らかく、アンチョビのソースと薄切りにした生のタマネギがマッチ。ありきたりの素材でうまいこと作るなあと感心しました。
デザートは、ティラミスとダークチェリーのタルト。甘すぎず、奇をてらっているわけでもないのに高い水準の味。マンマが作ってくれるデザートって感じかな。
東京のイタリアンは、イタリアできっちりと修行をしてきた新進気鋭の日本人がシェフの店と、イタリア人が自分の国の美味しいものを食べさせるための店と二分にきっちり分かれている。前者は気合いたっぷりだから、こっちも食べてやるぞ!と構えでついつい足を運んでしまうけれど、後者はふら〜と軽い気持ちで行って、気が付いたらすごく楽しい時間を過ごせた〜となるような気軽さがある。イタリア人の気質だね。
今度は夜に行ってみようと思う。かなり気に入っちゃいました。
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エリオ・ロカンダ・イタリアーナ
東京都千代田区麹町2-5-2 半蔵門ハウス1階
03-3239-6771