今回の旅の一番の目的は、南トスカーナに広がる「オルチャ渓谷(オルチヤ)」。日本で言う渓谷と違って、丘陵地帯かな。延々となだらかな大地が広がります。このオルチャ渓谷を知ったのは、数年間に放送したNHKの世界遺産番組。イタリアの世界遺産と言えば、遺跡や町並みがほとんどなのに、これはその大地そのものが世界遺産だという。なのに、自然遺産ではなく、文化遺産。人の手で作られた美しい大地に対して認定されたのだ。
車窓からも、ヴェッキオの町でも、サンジミニャーノでも、広大なトスカーナの大地は見てきたけれど、このオルチャ渓谷はひと味もふた味も違うんです。私が二日間で撮影した写真をご紹介します。
この地はもともと不毛の粘土質の大地で、耕作には向かなかったのですが、農民達に開墾の意欲をわかさせる税制度の改革によって、荒れ果てた大地が、人の手によって作られた美しい大地に変わったんです。
大地の至る所で見られる「糸杉」。無作為に植えられているわけではなく、土地の境界線や、家のまわりに植えられ、大地の景観に意図的にアクセントを加えています。
私が訪れた7月は、ちょうど牧草を刈り取った後でまるで秋のようでした。Flickrで調べると、この地が緑にあふれるのは春のようです。
この夕焼け写真を撮影するために、右奥の民家の敷地に入っていって番犬に追いかけ回され、甘噛みされました。
半泣きしました。。。
無作為に写真を撮っているように見えますが、実はFlickrでこのオルチャ渓谷のステキな写真の場所をgoogleで探し当て、道路地図と照らし合わせながらそのポイントに向かいました。私の腕がいまいちなので、感動的な写真になっていませんが、本当はこんななのです(涙)。場所は同じでしょ?
翌日、やっぱりオルチャ渓谷が忘れられなくて、3時間かけてもう一度訪問。行きの道のりでこんなステキな空を見かけました。あー、なんて最高なんだ・・・。私は幸せすぎるぞ。
オルチャ渓谷のど真ん中にある「ピエンツァ」にて。奥に見えるのがオルチャの大地。
高台にあるピエンツァの町から見下ろすオルチャ渓谷。これがすべて青々とした緑だった時のことを想像してみる・・。あぁ、もう一度見なければと心に誓いました。美しいトスカーナの写真ばかりの入った写真集をピエンツァで購入。その中には朝霧に包まれた幻想的なオルチャ渓谷が・・・。この景色だけでもこんなに心揺さぶられるのに、そんな幻想的な景色を見たら失神してしまうかも知れないな。
十勝平野と何が違うの?と聞かれるのですが、その規模と計画性と芸術性なんだと思う。意図的に美しく作られているところがすごい。
広大な大地にひとっこひとりいません。
次回トスカーナを訪れる時は、このオルチャ渓谷のど真ん中の英語の通じるアグリツーリズモで、まるまる5日は滞在するぞ!と決めました。できれば3月の新緑の季節。5月の青々とした緑でもいいなぁ。おいしいワインとチーズ、それに肉料理をたらふく食べて、この大地をのんびり散策するなんて夢みたいだなぁ。
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