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【バスクへの旅その9】L’Auberge Basque(オーベルジュ・バスク)で優雅な山のバスクを満喫 前編

フランス側バスクの一番西にある町「サン・ジャン・ド・リュズ」からタクシーで20分ほどの丘陵地帯に、このオーベルジュ・バスクはあります。オーベルジュとはフランス語でレストラン付きの宿泊施設のことで、ハネムーンにぴったりな宿泊施設が付いたすてきなガーデンレストランです。レストランも一つ星。宿泊客ももちろん食事を取りますが、車で来訪するお客さんも含めるとディナーはほぼ満席。何冊もバスクの資料を引っ張り出していたときに見つけたとっておきのオーベルジュです!

食事中心の後編はこちら

お庭はどこまでが敷地?と言うほどの広さで、とても大きなプラタナスが何本も植わっていて緑豊か。そこに白壁のオーベルジュ。ここに古くからあった民家を改造して造ったそう。1階はフロントやくつろぐスペースとレストラン、それにバーが併設されている。2階は宿泊施設で部屋のデザインがそれぞれ違うらしい。もちろんこの庭に面している2階の部屋が一番に良い部屋で、1泊食事なしで250ユーロくらい。食事は比較的リーズナブルな値段で提供されるから、この値段でハネムーン滞在だったらお得なんじゃないだろうか。

いや、ですけど、しかし、私たち女二人がそんなステキな部屋に泊まれるかというと、もちろん泊まれません。そんな金銭的余裕ありませんしっ!

このレストランの正面入り口の左側に別棟があるのですが、その別棟の1階の一番手前の黒い扉のある部屋、それが私たちの部屋です。この棟は1階の奥は団体のお客様がビジネスミーティングに使えるような広い部屋と倉庫、2階はスタッフ部屋でした。私たちの予想では、このオーベルジュのオーナー向けの仮部屋としてこの部屋を作ったけれど使わなくなったから安い値段で宿泊させようってことになったんじゃないかと踏んでます。なんと1泊90ユーロ!この円高を考えるとひとり5000円しないで優雅なこの場所を満喫できるのです。ここに2泊できる空室日程をベースに旅程をくんだくらいです。絶対この部屋お得だって。

でもこの西向きのお部屋すごくいいんですよー。前にはスタッフ以外誰も入ってこない前庭があって、そこまで段差もなく扉が開かれていて、心地よい風がながれてくるんです。ドアを開けたまま昼寝していても時折スタッフが通る程度で誰も来ません。一応、反対側の廊下に続くドアもあって鍵もあるのですが、外のドアを開け放しておいても危なくないし、むしろそういう過ごし方をスタッフがオススメするかのように、スタッフは用事があるときは庭から顔を出します。よく考えたら部屋には電話なかったしw。スタッフには子持ちの方もいるようで、滞在中この前庭に子供用のブランコとプールを作り始めました。ここはスタッフやその子供たちとコミュニケーションを楽しめる場でもあるかもしれないです。

部屋はコンパクトで、キングサイズのベッド、それに大きなクローゼットがひとつ、小さなテーブルとベッドサイドテーブル付きです。このあたりはまわりになにもないので、ネットがつながりにくかったのですが、ここのwifiがあって助かりました。

ウェルカムドリンクは飲んだことがない甘い味がするフルーツジュース。ちょっと発砲していて移動で疲れた体の血糖値を上げてくれます。手作りなのか、それぞれの瓶の量が違うのがなんともチャーミング。それにサン・ジャン・ド・リュズで有名なマダム・アダムのマカロン!素朴な味のするマカロンとこのジュースにほっとします。

寝室の面積に対してバスルームの面積には余裕があるのですが、ここはバスタブがありませんでした。替わりにシャワーは妙に充実していて、天井から直接じゃーっと流れるシャワーがあったり。置かれているソープやシャンプーはどれもとってもとっても良い香りがして、使っているだけでオーガニックなフランスっこになれましたよ(あんまりそういうのわからないんだけど)。

正面の庭(私たちの前庭じゃなく)からの眺めです。なだらかに続くフランスバスクの山並み、雲から差し込む光はヨーロッパの夏を感じます。こんな風景がほぼ独り占めです、だって誰もいないんだもん。

途中、ザッと夕立が降った後、この丘に虹がふりそそぎました。いや、もう宗教とかよくわかんないんですけど、天使が舞い降りてきそうでしたよ。それくらい神秘的で大騒ぎしちゃうほどなのに、私たち以外この庭に出てくる人はいませんでした。いや、自分の部屋のテラスから見ていたのかな。

次回はここの食事について書きますー。

【バスクへの旅その8】ビアリッツのマルシェは食材豊富!バスクの魅力がここに。

バスクのフランス側の港町「ビアリッツ」のマルシェはフランスバスクの食材の宝庫。町のほぼ真ん中に魚介系の棟と野菜・加工食品系の棟、そしてそのまわりにテントが張り巡らされ、こぢんまりしてはいるんだけれど、食材は新鮮で豊富なんです。ヨーロッパに行くとたいていの町には大なり小なり市場があって、その町の食材が手に入るんだけれど、フランスの市場=マルシェとなると、なぜがぐっとおしゃれにみえる。テントの色の配色、飾られた植木の花、商品の並べ方、路駐されたバイクまで急にフランスだから不思議。

日本ではなかなか見かけないアーティチョークも大きさ違いでたくさん置かれています。瓶詰めじゃないアーティチョークが食べられる季節だったのに、結局食べずに帰ってきてしまった。日本でも栽培する農家が増えればいいのになぁ。需要はあると思うんだけれど。

くるみ。その篭に、そっとスイカを置く彩りのセンスがすばらしい。スイカ売り場は別にあるわけで、意図的においているんだから、もうまいっちゃう。

生のアーモンド。この状態で買ったあと、どうやって果肉を剥くのかなぁ。殻付きのアーモンドのうまさは格別だから、生のアーモンドもきっとうまいにちがいない。

日本ではあまりみかけないルバーブも発見。5ユーロ/kgは、この市場ではお値段高め。あまり赤くないけれど、煮ると赤くなるのかなぁ。次の街のホテルで食べたナッツ入りのルバーブジャムおいしかったなぁ。すっぱいものが比較的苦手な私がこのルバーブだけは好きなんだよなぁ。

茹でたシャコ。並べ方がおしゃれだよね。日本でもシャコはよく食べるけれど、こちらではどうやって食べるのだろう。日本のシャコはキレイに剥いた状態をプラスチックのケースに並べてあるから元々の大きさがよくわからないけれど、これは大きい方なのかなぁ。

ホタテ。ホタテをこうやって赤い部分を残したまま並べる習慣は日本にはないよね。最初何かと思ったよ~。

加工肉のお店ではさまざまな種類の生ハムを売っている。手に持って食べられるように売っているんだけれど、これがたっぷり入っていてうまい!しかもたったの2.5ユーロ。ビールが飲みたくなるけれど、朝だから我慢したよ。にしてもこのお店のお兄ちゃん、ブルース・ウィルスに似てる・・・。

この町からほど近くにあるイッツァスーと言う村はさくらんぼが名産で、ジャム(コンフィチュール)やジャムの入ったガトーバスクがたくさんおいてある。ジャムは大きめの瓶で4ユーロとこのあたりの相場を考えると少し高め。でもそのあと日本に戻って、ちゃんとしたところでフランス産のさくらんぼのコンフィチュールを買おうとしたら1000円超えだったから、決して高くないし、このマルシェで高いものなんてほとんどないってことがよくわかる。でも今年はこのさくらんぼが不作らしい。

さくらんぼジャムと赤ピーマンの瓶詰めも購入。瓶詰めばっかり買っていて荷物が重い。

マルシェ前のデリはちょっとお値段高めだけれどおいしかったなぁ。良い感じにへたったマルシェバッグをもったおじさんがいたので「バッグ、ステキね」なんて声かけたらここに長期滞在している日本人だったもんだから恥ずかしかった~(つたない英語でしゃべりかけたことも、フランス人じゃなかったことも)。あんな風にマルシェバッグにリーキとかフランスパン(もちろん紙袋なし)とか刺して歩いたらそれだけでテンションあがるよなー。外食節約のためにここで3品とビールを買って部屋で食べたら、下手なバルよりよっぽど幸せだったよ。アパートに滞在して料理しながら暮らすのも楽しいだろうなぁ。

パテやフランスっぽいサラダやキッシュ、見ているだけでワクワクしちゃうんだよね。

どこの国に行ってもなるべく市場には訪れるようにしているのだけど、よく考えると日本は一般公開された市場は少ないほうかもしれないな。六本木や恵比寿の広場でマルシェっぽいものをやっていたりするけれど、おしゃれとオーガニックに偏りすぎていてぜんぜん大衆的じゃない。

そう考えると去年訪れた、燕市の三八の市はよかった。三と八の付く日にやるから「三八」。地元の野菜や魚、加工食品が歩行者天国にした商店街にずらりと並ぶ。レンコンだけの店、豆餅を扱うおばあちゃん、正月の昆布巻き用の昆布を扱う店、はたまたもんぺばかり取り扱う店。地元のものが良心的な価格で道ばたに並べられている。残念なのは店数は減る一方らしく、行商のおばあちゃんも腰がまあるく曲がった高齢のかたばかりで、衰退の一途をたどっている。お客も年配層が多く、大型スーパーに推され気味みたい。

こういう良いものを扱う地方の市場をヨーロッパの田舎町の市場みたいに活性化させたいなぁ。食は豊かでありたい。なんて遠くフランスの地のマルシェに思いを巡らせました。

【バスクへの旅その7】サン・セバスティアン「Mugaritz」の★2ランチ 理解不能

長らくお休みをしておりましたこのブログですが、やっと文章を書く気力も戻ってきましたので再開しますー。去年の夏に訪れたバスク、今さらなのですがぜひぜひみなさんに訪れてほしいのです。

【バスクへの旅その6】はビアリッツだったので、サン・セバスティアンにもどります。この旅の目的の一つでもあった★2つのレストラン「Mugaritz(ムガリッツ)」へ訪れた時のことはいろいろな意味で一生忘れられない思い出です。場所はサン・セバスティアンからタクシーで15分ほどの日本で言うなら「里山」のステキなところ。こんなところに星付きのレストランが!という感覚は、日本でも流行っている鶴岡のアル・ケッチャーノや弘前のダ・サスィーノみたいな感じでしょうか。そうそう、こういうレストランの標識はイタリアでもよく見かけましたが、ちゃんとした交通標識です。たぶん。イタリアではそうだったので。

一軒家レストランは広大な敷地で、店の広さの5倍くらいの大きさの駐車場を構えています(みんな飲酒運転なのだろうか・・・)。2階は従業員の宿舎のようです。敷地には花やハーブや野菜がたくさん植わっていて、見たことがない種類もたくさんありました。ステキな一角なんですけれど、天気が今一つで、カラッと青空だったらどれだけステキだったでしょうか。

ヨーロッパのちょっといけてるレストランに行くとよくあるのが、日本かぶれ。日本じゃ好まれないあのフォント、どこからもらったのかとおもいきや日本の料亭でした。もうちょっとセンスの良い物あげればいいのに。

ランチの予約は13:30でしたが、私たちの到着は一番。この部屋で飲み物を飲みながら待たされました。予約の時間になってもなかなか別棟の店内には案内されません。でもこういうゆったりした流れにいらいらする人もいないし、みんなせかせかしたスケジュールを立てたりしない。スペインってそんな国です。日本人は見習いたいけれど、もう血が違うんですね。

店内に案内されるととっても広く、日本だったらついつい3倍のテーブルをいれてしまいそう。そこにおもむろに2つのカードが。ちゃんと日本語で書かれています。

「150分反抗してください」

「150分委ねてください」

またきたよ、日本語かぶれか〜と思って中を開けると、

「不快、動揺、苛立ちに反抗する150分 苦しみへ反抗する150分」

「感じ、想像し、発見する150分 瞑想の150分」

日本にかぶれた人が辞書を引きながら書いた日本語だから意味が分からないんだと思い、英語版ももらって、iPhoneで辞書を引きながら読んでみてもまったく同じ内容。はて?と言う顔をしていてもウェイターは意味ありげに笑顔を浮かべるだけ。とりあえずよくわからないけれど食事に入ることにしました。

「手で食べるのはイヤじゃないか」というので、「問題ないよ」と言うとしばらくカトラリーを使わない料理が。ちなみに渡されたメニューには18品載っています・・・。

最初の一品。写真の上が「Refreshing “bulgur” drink」。まるで米のとぎ汁・・・。ちょっと塩味がついています。氷が溶けるのでいつまでも飲み終わらずなかなか下げてもらえませんでした。出だし「ええ?」って感じです。bulgurとは乾燥させた小麦のことのようです。

写真左は、大きくならないうちにもいだキュウリ。これはとってもフレッシュで旨みが凝縮されていておいしい。調理をしないのも調理なんですかね。

写真右は「An envelop of flowers」。オブラートの中にたくさんのお花と甘いピーナッツクリーム。どうやって食べていいのか聞くと、そのまま口に運べとのこと。でも中が見たくて開けてみました。まさに今摘んで入れたというようなお花がたくさん詰まってる。オブラートに包む事で口に入れた瞬間に鼻に香りが抜けるんです。そういや去年閉店して話題になった★3つの「エルブリ」の映画を観たときに、このオブラートの話しが出てきて、「日本ではこれに粉薬を入れて飲むらしい。それをヒントにして料理を作ってみたよ」と話していたな。ここのアンドニも彼から影響を受けたのかもしれないなー。そんなわけで日本人である私は料理としてオブラートをすんなりと受け入れられません。

「Grilled pueraria focaccia」。帰ってきてからわかったことですけれど、プエラリアと言うマメ科の植物の花を使ったものみたいです。パリパリしていてあんまり味がなく、はて、これはなんのかしらと思いながら食べ終わってしまいました。

ムガリッツどうだった?と友達に聞かれると「石ころを出す店だよ」と言うと一番わかり易いのでそう答えるようにしています。それがこれ「Edible stones」。石ころだけでなく、砂も食べられます。「これ食べるの?」と言う顔をしている時のウエイターのドヤ顔がたまりません。

かじるとこんな感じ。ホクホクの新じゃがを甘いグレーのコートで覆っています。マヨネーズソースでいただきます。まぁここまでの料理が手でいただく料理なのですが、「おいしい」と言う感想より「なんじゃこりゃ」と思うことが多く、最初のカードにあった「不快、動揺、いらだち」がこの意味だったとよくわかります。それにそのまま反抗していいようなので、無理して「美味です」なんて言うつもりもなく、お客へのサプライズを喜んでいるんだなと思うことにしました。

ここからは比較的まともな料理が多く、この「Homemade mozzarella, whey emulsion infused with smoked black tea」はもっとたくさん食べたいと思いました。スモークした黒いお茶でホエー豚のお乳をモッツァレラにした?・・・。英語がよくわからずスミマセン。。。ちなみに一緒に行ったやまぴーはせっかくおいしいこの料理を思い切りこぼして、子供のようにテーブルクロスを二枚重ねにされていました。あわてっぷりがかわいかったなぁ。

「Daily flowers stewed with codfish」。たぶんゆりのような花だと思うのですが、そのユリの花をパスタに。旨味はタラ。ユリの花の天然の甘味がうまおいしい。

「Over a gelatinous pine nut cream , glutinous codfish and mastic resin」。なんだかよくわからないので後で聞くと、タラの腸を柔らかくし、松の実のソースを添えたものらしい。タラの腸までたべるところはさすがタラ文化の国だなぁ。日本もタラ文化の国だけれど、腸はどうやって食べているのだろう。

順番に厨房に案内してもらいいろいろと説明してもらう。テレビで何度も見たアンドニが当たり前のように腕を振るっているではないか!ここにずっと来たかった思いを切々と語り、一緒に写真を撮ってもらいました。日本は大好きなようで、交流のある日本人シェフもたくさんいるよう。スタッフは総勢35人で、日本人もひとりいるようで日本語で案内もしてくれました。アンドニは笑顔を絶やさず、どの人にも親切、丁寧。哲学的な料理が多かっただけに堅い人かとおもいきや、フレンドリな人柄にびっくりしました。一昨年厨房が火事で燃えてしまい、再建したそう。左に移っているのはチーフ。

「Fresh herbs. Mortar soup made of spices, seeds, and fish broth」。すり鉢のようなもので、ゴリゴリと自分でスパイスをすらされ、そこに魚介系のスープを注がれる。自分ですることでそこに漂う香りを感じ、そしてスープを注いだときの変化も楽しんでほしいというところかしら。ラーメンのダブルスープのようなものか?(なんて安っぽい表現だ)


「Line Cheese with chanterelles」シャントレルと言う変な形のキノコにまぁるいチーズ、そしてほんの少しの岩塩。うまいんですけど、この微妙なあじわいを私は感じとれていない気がする・・・。そしてこの杉の新芽みたいなのはなんだったんだろう。

 

「Shhhhhh…cat got your tongue」なんなんだこのメニュー名。。。またしてもシェフのドヤ顔が浮かんでくる。これもまたカードに書かれていたイラダチなのかー。まるで鳥の巣か枯れた草のようなんだけれど、実はオニオンフライで、そこにたっぷりとタンのスープを染み込ませてあるので食べた瞬間に口いっぱいにタンを感じるんです。この感じはカード二枚目の「発見」なのかもしれないなぁ。


「Silky bread stew , infused with pink geranium」蟹肉の下に、おそらくお麩なんだじゃないかな。そしてゼラニウムの香りがします。ハーブの畑によくゼラニウムが食用として植えられているのを見ますが、実際に料理に使われているのは初めて。この香り、慣れません。

「Grilled white tuna fillet , with “piparras”」ホワイトツナがどんな魚か具体的にわからなかったんだけれど、マスか何かじゃないかなぁ。半生で、その上に玉ねぎとししとうのペーストが乗っています。ししとうは中の種の部分はペーストにせずに乗せられているあたりがおしゃれ?

「Piece of beef , grilled steak emulsion and salt crystals」この店に来てはじめてシンプルな焼いただけの肉が出てきたよ。ただこのシルキーな舌触りの火の通し加減にどれだけの努力を費やしているかはわからず。素直にうまい。

「Iberian pork tails , crispy leaves and toasted sweet millet oil」イベリコ豚のテールの肉をパリっとでも口にまとわりつく感じ。北京ダックの皮に影響されているのかなぁ、にしても中華っぽい。イベリコ豚のうまみがここに凝縮されています。

品数が多すぎて、メニューをもらった時点で「わわわ」と思い、途中で少なめにしてもらいました。おかげで二品スキップしたようです。さてここからはデザート三品・・・。スペイン人の胃袋はどうなっているんだろう。

「A cup of chamomile dressed with a cocoa nectar. Candied fruits from the market」カモミールの風味のアイスにココアのソース、それにもものドライフルーツが入っている。このドライフルーツがいつまでも口にへばりついて不快。

「Broken walnuts , toasted and salted, cool milk cream and armagnac jelly」

まるでクルミみたいなんだけれど、実はミルクチョコでその中にはお酒の効いたゼリーが!でもクルミの中身もあしらわれていて、驚きがたくさん隠されている。

「Nails and flower」

ちっちゃなソフトクリームなんだけど、さびた釘が刺さってる!もちろんぜんぶ食べられます。下に惹かれた砂利も含め。

これで料理はフィニッシュ。でも本当は18品あったよう・・・。日本人の胃袋ではこの品数はいけません。この日のメニューはこんな風にあらかじめ渡されるのですが、私のメモと、アンドニ、料理主任、日本人スタッフのサイン入りで一生の思い出に(くちゃくちゃだが)。このメモがなかったらこのブログかけませんでした。

ここで最初に渡されたカードについて思いを巡らせてみることにしました。

「150分反抗してください」
「不快、動揺、苛立ちに反抗する150分 苦しみへ反抗する150分」

「150分委ねてください」
「感じ、想像し、発見する150分 瞑想の150分」

確かに「なにこれ?」とか「わけわからない」とか「食べにくい」とか反抗し、その中で「こういうのは初めてだな」とか「どんな風に作っているのだろう」とか瞑想したなぁ。ただし150分じゃないです。ランチですが210分。お店を出たのは17時過ぎです。ちなみにディナーは20時以降。

スペイン料理って伝統的なパエジャやフリット、ピルピルは浮かんだけれど、それとはまったく別のもので(日本だって懐石とうどんはぜんぜん別だもんな)ここではなんでもアリな気がしたよ。箸が出てきて竹の器に入っていても誰もびっくりしないだろうよ。これは映画「エルブリ」をみてもまったくそう思いました。

そしておいしさを求めているんじゃない、驚きとか発見、未踏の地へ連れて行く料理。だから「おいしかった?」って聞かれても「うーん、びっくりしたよ」と答えることにしてます。世界の食通どもはこんな驚きを期待しているんだなぁ。私はバル巡りの方がずっとおいしくて楽しかった庶民ですが、それでいいや~と思いました。

【バスクへの旅その6】バスクでのお買い物〜リネンやベレー帽〜

バスクへの旅の目的は「食」と「買い物」。今回は私が訪れた「サン・セバスチャン」「サン・ジャン・ド・リュズ」「ビアリッツ」でのお買い物事情について書こうと思う。今回は食以外について。

  • リネン
    バスクと言ったらリネンと言われるくらい、町の至る所でバスクリネンが使われている(主にフランス側バスク)。テーブルクロスはもちろん、ナプキン、ランチョンマット、ミトン、エプロン、トートバッグ、カーテン、シーツとあらゆるところで使われていて、その柄もさまざま。伝統的な柄は、バスクの7つの県を表した7本線のもので、ラインの太さや色の組み合わせはいろいろあり、シンプルな1色のものも、複数の色を使ったものもどれも魅力的。 現代風の柄もあって、7本線にこだわらず、自由なデザインのものもある。私はやっぱり伝統的な白ベースの7本ラインのものが好きで、スーツケースの空いているところを埋めるかのように大量購入してしまった。と言うのも、ここのリネンはなかなか日本では手に入らないし、手に入っても値段が張る。ここバスクで買ったって安くないのだ、日本で買えばもっと高いのは当然。そして大事に使えば一生使えるらしい。くたっと柔らかくなって色が薄くなったリネンはアンティークとして高い値も付くそうで、そういう良いものを一生使うスタイルに惚れ込んでしまった。リネン専門店は、サン・ジャン・ド・リュズ、ビアリッツのどちらにもあるので両方紹介しますね。

    「ONATISS」
    定番柄のサイズ違いがたくさんあります。ビアリッツに直営店があり、斜め前は「Artiga」なのでリネン好きはやっぱりサン・ジャン・ド・リュズを訪れるべき。「Tisse on France.au Pays Basque」ノラベル、つまりバスクで作られたものよと書かれてあるのにちょっと興奮。「Saint-Palais」と言う町に工場があるそうで見学もできるそう。絶対に次回は行くぞ!と心に決めたが車がないと行けなさそう。

     


    私が買ったものはこちら。右のピンクの入ったものはエプロン。


    「Artiga」
    定番柄やタオルの種類も豊富。「Aramits」という7本線ではない定番柄はここで購入。あとは現代風の柄のものを。エスパドリーユの柄物もここは安くていいデザインのものがありますよ。ビアリッツのマルシェ前の店(上の写真)でも取り扱いはあるけれど、サン・ジャン・ド・リュズの方(下の写真)が商品が豊富です。

     


    私が買ったものはこちら。右上の伝統的な柄以外はおみやげ用。


    「MENDIBURUTEGIA」
    サン・ジャン・ド・リュズにて量り売りが充実してる店。カーテンなどの注文品も受け付けているようで、店の女の子たちはせっせとカーテンを手縫いしていた!




    私が購入した上の写真内の水色や青が入った柄は1m32ユーロ。この生地を使って他の店ではこんなふうに商品にしていましたよ。何をつくろう。


    「Hellena」
    ビアリッツのメイン通りにあるリネン屋で、私はタオルを2枚購入。旧作のものはセットになって安く買えたりします。

  • ベレー帽
    ベレー帽と言ったら、バスクが発祥。サン・ジャン・ド・リュズの「chapellerie」と言う帽子屋でたくさんのサイズの中から選んで買うことができます。残念ながらサイズを選べるのは黒だけ。頭のサイズを測ってくれて自分にぴったりのものを選んでくれます。若干きつ目だったのでもうひとつ上のサイズをと言ったら、あなたにはこれがベストと。緩めにかぶるのではなく、きっちりかぶるのがバスク流のよう。後ろを持って前を引っ張るのがかぶり方みたい。縁には皮が巻いてあるので適度に自分のサイズに伸びて、さらにそれ以上は伸びなさそう。写真はかぶってうきうきの私と、サイズ違いの黒のベレーが山積みされた店内。
  • エスパドリーユ
    バスクといえばこのエスパドリーユも有名。バスク織りでできたこの靴は現地の人はサンダルと呼んでいるそう。サン・ジャン・ド・リュズには「Bayona」と言う専門店もあるほど。私はエスパドリーユは買うつもりはなかったんだけれど、スーパーで無地のエスパドリーユが5.8ユーロで売られているのを発見して、シンプルな白を即買いしました。大事に履こう〜。

【バスクへの旅その5】となり街のビアリッツはいきなりフランス色のバスクでした。ステキ!

バスクでも主要な都市であるスペイン側のサン・セバスティアンから、フランス側の主要な都市であるビアリッツ(Biaritz)への移動はバスで。高速を使わず、間にあるイルンやサン・ジャン・ド・リュズを経由していくから距離の割に時間はかかる。だいたい1時間くらい。サン・セバスティアンのAMARA PLAZA前から午前と午後に1本ずつバスが出ていて6ユーロで行くことができる。バスは街の繁華街からちょっと東のインフォメーション前に到着する。バイヨンヌ行きだから寝過ごすことまずないけれど、たくさん人が降りるのでわかりやすいよ。

ビアリッツも屈指のリゾート地のようで砂浜には色とりどりのパラソルを立ててバカンスを楽しむ人でいっぱい。ただトップレス率はサン・セバスティアンの方が高かったかなw。先に見える灯台がこの街のシンボルみたい。やまぴーの買ったスノードームもこの灯台のデザインだったな。

サン・セバスティアンからちょっとしか離れていないのに、急にフランス語が飛び交い街もおフランス、いちいちオシャレに見えるから不思議。永遠のオリーブ少女(永遠のオリーブ少女に出会うのは二人目)のやまぴーは常に興奮状態。私と興奮ポイントが若干ズレているところが旅が楽しくなるポイントだなぁと実感したよ。ストライプのマリン柄とエスパドリーユ、それに街には随所にバティセリー。

いちいちオシャレに見えてしまうフランス人その1。

潮の引いた碧い海で遊ぶ人たち。

パラソルがいかにもバスク。

でも天気が悪いといっきにこんな!

海に沈む美しい夕焼け。でもマジックアワーは来なかった。飛行機雲がたくさん見えたので天気が悪くなるのかなと思ったら予想通り、次の日は一日しとしと降ったり、ザーーっと降ったり、晴れ間が覗いたり。ここバスクの地は雨が多いんだけれど、その分緑豊か。町の人達は雨が振っても傘なんてささない。やむまで軒下で待つか、濡れてもへっちゃら。乾燥しているからあっさり乾くんだけれど、みんなあんまり急いだりしない。

サン・セバスティアンの街は旧市街以外は道が広くて歩道も広く、自転車道があるくらいだったけれど、このビアリッツは道が狭くてくねくねしていて、坂も一通も多い。慣れないと方角が分からなくなってしまうけれど、北側は海だとわかれば最終的に迷うことはない。

サン・セバスティアンではどのバルもおいしかったのに、パッとピンチョスが目についたバルに入ったら全くのハズレだった。見た目にはオシャレだけれど、彩りだけ。私でも作れそうなものばかり。でも久しぶりのビールがうまかったよ。

ピンチョスは適当にカウンターから6品選んでみた。

もう一度言うけれど、彩りはキレイだけれど普通。組み合わせただけ。サン・セバスティアンとレベルが違う。ちゃんと探せばおいしいバルはあったんだろうけれど。

街にはいくつもステキなパティセリーがあって、どこでも名物のガトーバスクを売っている。名物のさくらんぼが入ったものやクリームが入ったもの、ひとくちサイズから大きなものまでバリエーションは豊か。この写真は「Paries」というパティセリー。この街に行ったらかならず歩く繁華街からちょっと海岸側に入ったところにある店で、キャラメルのような「カヌガ」とアーモンドがベースの「トゥーロン」が有名みたい。他の物価から考えるとガトーバスクのような大衆お菓子以外はちょっとお値段も張る。

こっちが「トゥーロン」。いろんな色のものがあって美しい。

ここは海が見渡せるカフェを併設した「MIREMONT」。持ち帰りもできる。ここではカプチーノを頼んでみたが(たぶん)、いきなり大きなコップにクリームこんもりの冷たそうな飲み物が出てきたから間違えちゃったかと思いきや、ストローで吸うとホットだったからびっくり。ストローで熱いものを飲むとは知らなかった。

となりの定年後の旅行を楽しむ夫婦はオーストラリア人で、あまりにも苺のタルトがでかくてウマそうだったから写真を撮らせてもらった。ドヤ顔の極み。ツアーのようで、この街にはちょっと寄っただけだそう。泊まるべきなのに!

泊まったホテル「Le Saphir」はバス停からは10分ちょっと歩くけれど、メイン通りに面していて便利。ただ部屋は4階(表記上は3階)なのにエレベーターがなくてかなり苦労した。この7月に20度前後と涼しいはずのこのバスクで久しぶりに汗をかきました。エレベーターがあるかないかはホテル選びの重要なポイントだな。でもふたりで2泊で180ユーロ、ベッドもきれいでトイレもシャワーもついているからそこ以外は快適だったな。

SNCFの駅はビアリッツの街から離れているので、街まではタクシー移動が必要なよう。バイヨンヌやサン・ジャン・ド・リュズから来るならバスのほうが便利かもしれないけれど、本数は圧倒的に多いよ。ビアリッツからサン・ジャン・ド・リュズへ向かうバスは、インフォメーション前のバス停から一つ目は先ほど紹介したパティセリー「MIREMONT」の前に止まるのでそこから乗るほうが便利。

マルシェの話は別記事で。