All posts in ヨーロッパ

【バスクへの旅その7】サン・セバスティアン「Mugaritz」の★2ランチ 理解不能

長らくお休みをしておりましたこのブログですが、やっと文章を書く気力も戻ってきましたので再開しますー。去年の夏に訪れたバスク、今さらなのですがぜひぜひみなさんに訪れてほしいのです。

【バスクへの旅その6】はビアリッツだったので、サン・セバスティアンにもどります。この旅の目的の一つでもあった★2つのレストラン「Mugaritz(ムガリッツ)」へ訪れた時のことはいろいろな意味で一生忘れられない思い出です。場所はサン・セバスティアンからタクシーで15分ほどの日本で言うなら「里山」のステキなところ。こんなところに星付きのレストランが!という感覚は、日本でも流行っている鶴岡のアル・ケッチャーノや弘前のダ・サスィーノみたいな感じでしょうか。そうそう、こういうレストランの標識はイタリアでもよく見かけましたが、ちゃんとした交通標識です。たぶん。イタリアではそうだったので。

一軒家レストランは広大な敷地で、店の広さの5倍くらいの大きさの駐車場を構えています(みんな飲酒運転なのだろうか・・・)。2階は従業員の宿舎のようです。敷地には花やハーブや野菜がたくさん植わっていて、見たことがない種類もたくさんありました。ステキな一角なんですけれど、天気が今一つで、カラッと青空だったらどれだけステキだったでしょうか。

ヨーロッパのちょっといけてるレストランに行くとよくあるのが、日本かぶれ。日本じゃ好まれないあのフォント、どこからもらったのかとおもいきや日本の料亭でした。もうちょっとセンスの良い物あげればいいのに。

ランチの予約は13:30でしたが、私たちの到着は一番。この部屋で飲み物を飲みながら待たされました。予約の時間になってもなかなか別棟の店内には案内されません。でもこういうゆったりした流れにいらいらする人もいないし、みんなせかせかしたスケジュールを立てたりしない。スペインってそんな国です。日本人は見習いたいけれど、もう血が違うんですね。

店内に案内されるととっても広く、日本だったらついつい3倍のテーブルをいれてしまいそう。そこにおもむろに2つのカードが。ちゃんと日本語で書かれています。

「150分反抗してください」

「150分委ねてください」

またきたよ、日本語かぶれか〜と思って中を開けると、

「不快、動揺、苛立ちに反抗する150分 苦しみへ反抗する150分」

「感じ、想像し、発見する150分 瞑想の150分」

日本にかぶれた人が辞書を引きながら書いた日本語だから意味が分からないんだと思い、英語版ももらって、iPhoneで辞書を引きながら読んでみてもまったく同じ内容。はて?と言う顔をしていてもウェイターは意味ありげに笑顔を浮かべるだけ。とりあえずよくわからないけれど食事に入ることにしました。

「手で食べるのはイヤじゃないか」というので、「問題ないよ」と言うとしばらくカトラリーを使わない料理が。ちなみに渡されたメニューには18品載っています・・・。

最初の一品。写真の上が「Refreshing “bulgur” drink」。まるで米のとぎ汁・・・。ちょっと塩味がついています。氷が溶けるのでいつまでも飲み終わらずなかなか下げてもらえませんでした。出だし「ええ?」って感じです。bulgurとは乾燥させた小麦のことのようです。

写真左は、大きくならないうちにもいだキュウリ。これはとってもフレッシュで旨みが凝縮されていておいしい。調理をしないのも調理なんですかね。

写真右は「An envelop of flowers」。オブラートの中にたくさんのお花と甘いピーナッツクリーム。どうやって食べていいのか聞くと、そのまま口に運べとのこと。でも中が見たくて開けてみました。まさに今摘んで入れたというようなお花がたくさん詰まってる。オブラートに包む事で口に入れた瞬間に鼻に香りが抜けるんです。そういや去年閉店して話題になった★3つの「エルブリ」の映画を観たときに、このオブラートの話しが出てきて、「日本ではこれに粉薬を入れて飲むらしい。それをヒントにして料理を作ってみたよ」と話していたな。ここのアンドニも彼から影響を受けたのかもしれないなー。そんなわけで日本人である私は料理としてオブラートをすんなりと受け入れられません。

「Grilled pueraria focaccia」。帰ってきてからわかったことですけれど、プエラリアと言うマメ科の植物の花を使ったものみたいです。パリパリしていてあんまり味がなく、はて、これはなんのかしらと思いながら食べ終わってしまいました。

ムガリッツどうだった?と友達に聞かれると「石ころを出す店だよ」と言うと一番わかり易いのでそう答えるようにしています。それがこれ「Edible stones」。石ころだけでなく、砂も食べられます。「これ食べるの?」と言う顔をしている時のウエイターのドヤ顔がたまりません。

かじるとこんな感じ。ホクホクの新じゃがを甘いグレーのコートで覆っています。マヨネーズソースでいただきます。まぁここまでの料理が手でいただく料理なのですが、「おいしい」と言う感想より「なんじゃこりゃ」と思うことが多く、最初のカードにあった「不快、動揺、いらだち」がこの意味だったとよくわかります。それにそのまま反抗していいようなので、無理して「美味です」なんて言うつもりもなく、お客へのサプライズを喜んでいるんだなと思うことにしました。

ここからは比較的まともな料理が多く、この「Homemade mozzarella, whey emulsion infused with smoked black tea」はもっとたくさん食べたいと思いました。スモークした黒いお茶でホエー豚のお乳をモッツァレラにした?・・・。英語がよくわからずスミマセン。。。ちなみに一緒に行ったやまぴーはせっかくおいしいこの料理を思い切りこぼして、子供のようにテーブルクロスを二枚重ねにされていました。あわてっぷりがかわいかったなぁ。

「Daily flowers stewed with codfish」。たぶんゆりのような花だと思うのですが、そのユリの花をパスタに。旨味はタラ。ユリの花の天然の甘味がうまおいしい。

「Over a gelatinous pine nut cream , glutinous codfish and mastic resin」。なんだかよくわからないので後で聞くと、タラの腸を柔らかくし、松の実のソースを添えたものらしい。タラの腸までたべるところはさすがタラ文化の国だなぁ。日本もタラ文化の国だけれど、腸はどうやって食べているのだろう。

順番に厨房に案内してもらいいろいろと説明してもらう。テレビで何度も見たアンドニが当たり前のように腕を振るっているではないか!ここにずっと来たかった思いを切々と語り、一緒に写真を撮ってもらいました。日本は大好きなようで、交流のある日本人シェフもたくさんいるよう。スタッフは総勢35人で、日本人もひとりいるようで日本語で案内もしてくれました。アンドニは笑顔を絶やさず、どの人にも親切、丁寧。哲学的な料理が多かっただけに堅い人かとおもいきや、フレンドリな人柄にびっくりしました。一昨年厨房が火事で燃えてしまい、再建したそう。左に移っているのはチーフ。

「Fresh herbs. Mortar soup made of spices, seeds, and fish broth」。すり鉢のようなもので、ゴリゴリと自分でスパイスをすらされ、そこに魚介系のスープを注がれる。自分ですることでそこに漂う香りを感じ、そしてスープを注いだときの変化も楽しんでほしいというところかしら。ラーメンのダブルスープのようなものか?(なんて安っぽい表現だ)


「Line Cheese with chanterelles」シャントレルと言う変な形のキノコにまぁるいチーズ、そしてほんの少しの岩塩。うまいんですけど、この微妙なあじわいを私は感じとれていない気がする・・・。そしてこの杉の新芽みたいなのはなんだったんだろう。

 

「Shhhhhh…cat got your tongue」なんなんだこのメニュー名。。。またしてもシェフのドヤ顔が浮かんでくる。これもまたカードに書かれていたイラダチなのかー。まるで鳥の巣か枯れた草のようなんだけれど、実はオニオンフライで、そこにたっぷりとタンのスープを染み込ませてあるので食べた瞬間に口いっぱいにタンを感じるんです。この感じはカード二枚目の「発見」なのかもしれないなぁ。


「Silky bread stew , infused with pink geranium」蟹肉の下に、おそらくお麩なんだじゃないかな。そしてゼラニウムの香りがします。ハーブの畑によくゼラニウムが食用として植えられているのを見ますが、実際に料理に使われているのは初めて。この香り、慣れません。

「Grilled white tuna fillet , with “piparras”」ホワイトツナがどんな魚か具体的にわからなかったんだけれど、マスか何かじゃないかなぁ。半生で、その上に玉ねぎとししとうのペーストが乗っています。ししとうは中の種の部分はペーストにせずに乗せられているあたりがおしゃれ?

「Piece of beef , grilled steak emulsion and salt crystals」この店に来てはじめてシンプルな焼いただけの肉が出てきたよ。ただこのシルキーな舌触りの火の通し加減にどれだけの努力を費やしているかはわからず。素直にうまい。

「Iberian pork tails , crispy leaves and toasted sweet millet oil」イベリコ豚のテールの肉をパリっとでも口にまとわりつく感じ。北京ダックの皮に影響されているのかなぁ、にしても中華っぽい。イベリコ豚のうまみがここに凝縮されています。

品数が多すぎて、メニューをもらった時点で「わわわ」と思い、途中で少なめにしてもらいました。おかげで二品スキップしたようです。さてここからはデザート三品・・・。スペイン人の胃袋はどうなっているんだろう。

「A cup of chamomile dressed with a cocoa nectar. Candied fruits from the market」カモミールの風味のアイスにココアのソース、それにもものドライフルーツが入っている。このドライフルーツがいつまでも口にへばりついて不快。

「Broken walnuts , toasted and salted, cool milk cream and armagnac jelly」

まるでクルミみたいなんだけれど、実はミルクチョコでその中にはお酒の効いたゼリーが!でもクルミの中身もあしらわれていて、驚きがたくさん隠されている。

「Nails and flower」

ちっちゃなソフトクリームなんだけど、さびた釘が刺さってる!もちろんぜんぶ食べられます。下に惹かれた砂利も含め。

これで料理はフィニッシュ。でも本当は18品あったよう・・・。日本人の胃袋ではこの品数はいけません。この日のメニューはこんな風にあらかじめ渡されるのですが、私のメモと、アンドニ、料理主任、日本人スタッフのサイン入りで一生の思い出に(くちゃくちゃだが)。このメモがなかったらこのブログかけませんでした。

ここで最初に渡されたカードについて思いを巡らせてみることにしました。

「150分反抗してください」
「不快、動揺、苛立ちに反抗する150分 苦しみへ反抗する150分」

「150分委ねてください」
「感じ、想像し、発見する150分 瞑想の150分」

確かに「なにこれ?」とか「わけわからない」とか「食べにくい」とか反抗し、その中で「こういうのは初めてだな」とか「どんな風に作っているのだろう」とか瞑想したなぁ。ただし150分じゃないです。ランチですが210分。お店を出たのは17時過ぎです。ちなみにディナーは20時以降。

スペイン料理って伝統的なパエジャやフリット、ピルピルは浮かんだけれど、それとはまったく別のもので(日本だって懐石とうどんはぜんぜん別だもんな)ここではなんでもアリな気がしたよ。箸が出てきて竹の器に入っていても誰もびっくりしないだろうよ。これは映画「エルブリ」をみてもまったくそう思いました。

そしておいしさを求めているんじゃない、驚きとか発見、未踏の地へ連れて行く料理。だから「おいしかった?」って聞かれても「うーん、びっくりしたよ」と答えることにしてます。世界の食通どもはこんな驚きを期待しているんだなぁ。私はバル巡りの方がずっとおいしくて楽しかった庶民ですが、それでいいや~と思いました。

【バスクへの旅その6】バスクでのお買い物〜リネンやベレー帽〜

バスクへの旅の目的は「食」と「買い物」。今回は私が訪れた「サン・セバスチャン」「サン・ジャン・ド・リュズ」「ビアリッツ」でのお買い物事情について書こうと思う。今回は食以外について。

  • リネン
    バスクと言ったらリネンと言われるくらい、町の至る所でバスクリネンが使われている(主にフランス側バスク)。テーブルクロスはもちろん、ナプキン、ランチョンマット、ミトン、エプロン、トートバッグ、カーテン、シーツとあらゆるところで使われていて、その柄もさまざま。伝統的な柄は、バスクの7つの県を表した7本線のもので、ラインの太さや色の組み合わせはいろいろあり、シンプルな1色のものも、複数の色を使ったものもどれも魅力的。 現代風の柄もあって、7本線にこだわらず、自由なデザインのものもある。私はやっぱり伝統的な白ベースの7本ラインのものが好きで、スーツケースの空いているところを埋めるかのように大量購入してしまった。と言うのも、ここのリネンはなかなか日本では手に入らないし、手に入っても値段が張る。ここバスクで買ったって安くないのだ、日本で買えばもっと高いのは当然。そして大事に使えば一生使えるらしい。くたっと柔らかくなって色が薄くなったリネンはアンティークとして高い値も付くそうで、そういう良いものを一生使うスタイルに惚れ込んでしまった。リネン専門店は、サン・ジャン・ド・リュズ、ビアリッツのどちらにもあるので両方紹介しますね。

    「ONATISS」
    定番柄のサイズ違いがたくさんあります。ビアリッツに直営店があり、斜め前は「Artiga」なのでリネン好きはやっぱりサン・ジャン・ド・リュズを訪れるべき。「Tisse on France.au Pays Basque」ノラベル、つまりバスクで作られたものよと書かれてあるのにちょっと興奮。「Saint-Palais」と言う町に工場があるそうで見学もできるそう。絶対に次回は行くぞ!と心に決めたが車がないと行けなさそう。

     


    私が買ったものはこちら。右のピンクの入ったものはエプロン。


    「Artiga」
    定番柄やタオルの種類も豊富。「Aramits」という7本線ではない定番柄はここで購入。あとは現代風の柄のものを。エスパドリーユの柄物もここは安くていいデザインのものがありますよ。ビアリッツのマルシェ前の店(上の写真)でも取り扱いはあるけれど、サン・ジャン・ド・リュズの方(下の写真)が商品が豊富です。

     


    私が買ったものはこちら。右上の伝統的な柄以外はおみやげ用。


    「MENDIBURUTEGIA」
    サン・ジャン・ド・リュズにて量り売りが充実してる店。カーテンなどの注文品も受け付けているようで、店の女の子たちはせっせとカーテンを手縫いしていた!




    私が購入した上の写真内の水色や青が入った柄は1m32ユーロ。この生地を使って他の店ではこんなふうに商品にしていましたよ。何をつくろう。


    「Hellena」
    ビアリッツのメイン通りにあるリネン屋で、私はタオルを2枚購入。旧作のものはセットになって安く買えたりします。

  • ベレー帽
    ベレー帽と言ったら、バスクが発祥。サン・ジャン・ド・リュズの「chapellerie」と言う帽子屋でたくさんのサイズの中から選んで買うことができます。残念ながらサイズを選べるのは黒だけ。頭のサイズを測ってくれて自分にぴったりのものを選んでくれます。若干きつ目だったのでもうひとつ上のサイズをと言ったら、あなたにはこれがベストと。緩めにかぶるのではなく、きっちりかぶるのがバスク流のよう。後ろを持って前を引っ張るのがかぶり方みたい。縁には皮が巻いてあるので適度に自分のサイズに伸びて、さらにそれ以上は伸びなさそう。写真はかぶってうきうきの私と、サイズ違いの黒のベレーが山積みされた店内。
  • エスパドリーユ
    バスクといえばこのエスパドリーユも有名。バスク織りでできたこの靴は現地の人はサンダルと呼んでいるそう。サン・ジャン・ド・リュズには「Bayona」と言う専門店もあるほど。私はエスパドリーユは買うつもりはなかったんだけれど、スーパーで無地のエスパドリーユが5.8ユーロで売られているのを発見して、シンプルな白を即買いしました。大事に履こう〜。

【バスクへの旅その5】となり街のビアリッツはいきなりフランス色のバスクでした。ステキ!

バスクでも主要な都市であるスペイン側のサン・セバスティアンから、フランス側の主要な都市であるビアリッツ(Biaritz)への移動はバスで。高速を使わず、間にあるイルンやサン・ジャン・ド・リュズを経由していくから距離の割に時間はかかる。だいたい1時間くらい。サン・セバスティアンのAMARA PLAZA前から午前と午後に1本ずつバスが出ていて6ユーロで行くことができる。バスは街の繁華街からちょっと東のインフォメーション前に到着する。バイヨンヌ行きだから寝過ごすことまずないけれど、たくさん人が降りるのでわかりやすいよ。

ビアリッツも屈指のリゾート地のようで砂浜には色とりどりのパラソルを立ててバカンスを楽しむ人でいっぱい。ただトップレス率はサン・セバスティアンの方が高かったかなw。先に見える灯台がこの街のシンボルみたい。やまぴーの買ったスノードームもこの灯台のデザインだったな。

サン・セバスティアンからちょっとしか離れていないのに、急にフランス語が飛び交い街もおフランス、いちいちオシャレに見えるから不思議。永遠のオリーブ少女(永遠のオリーブ少女に出会うのは二人目)のやまぴーは常に興奮状態。私と興奮ポイントが若干ズレているところが旅が楽しくなるポイントだなぁと実感したよ。ストライプのマリン柄とエスパドリーユ、それに街には随所にバティセリー。

いちいちオシャレに見えてしまうフランス人その1。

潮の引いた碧い海で遊ぶ人たち。

パラソルがいかにもバスク。

でも天気が悪いといっきにこんな!

海に沈む美しい夕焼け。でもマジックアワーは来なかった。飛行機雲がたくさん見えたので天気が悪くなるのかなと思ったら予想通り、次の日は一日しとしと降ったり、ザーーっと降ったり、晴れ間が覗いたり。ここバスクの地は雨が多いんだけれど、その分緑豊か。町の人達は雨が振っても傘なんてささない。やむまで軒下で待つか、濡れてもへっちゃら。乾燥しているからあっさり乾くんだけれど、みんなあんまり急いだりしない。

サン・セバスティアンの街は旧市街以外は道が広くて歩道も広く、自転車道があるくらいだったけれど、このビアリッツは道が狭くてくねくねしていて、坂も一通も多い。慣れないと方角が分からなくなってしまうけれど、北側は海だとわかれば最終的に迷うことはない。

サン・セバスティアンではどのバルもおいしかったのに、パッとピンチョスが目についたバルに入ったら全くのハズレだった。見た目にはオシャレだけれど、彩りだけ。私でも作れそうなものばかり。でも久しぶりのビールがうまかったよ。

ピンチョスは適当にカウンターから6品選んでみた。

もう一度言うけれど、彩りはキレイだけれど普通。組み合わせただけ。サン・セバスティアンとレベルが違う。ちゃんと探せばおいしいバルはあったんだろうけれど。

街にはいくつもステキなパティセリーがあって、どこでも名物のガトーバスクを売っている。名物のさくらんぼが入ったものやクリームが入ったもの、ひとくちサイズから大きなものまでバリエーションは豊か。この写真は「Paries」というパティセリー。この街に行ったらかならず歩く繁華街からちょっと海岸側に入ったところにある店で、キャラメルのような「カヌガ」とアーモンドがベースの「トゥーロン」が有名みたい。他の物価から考えるとガトーバスクのような大衆お菓子以外はちょっとお値段も張る。

こっちが「トゥーロン」。いろんな色のものがあって美しい。

ここは海が見渡せるカフェを併設した「MIREMONT」。持ち帰りもできる。ここではカプチーノを頼んでみたが(たぶん)、いきなり大きなコップにクリームこんもりの冷たそうな飲み物が出てきたから間違えちゃったかと思いきや、ストローで吸うとホットだったからびっくり。ストローで熱いものを飲むとは知らなかった。

となりの定年後の旅行を楽しむ夫婦はオーストラリア人で、あまりにも苺のタルトがでかくてウマそうだったから写真を撮らせてもらった。ドヤ顔の極み。ツアーのようで、この街にはちょっと寄っただけだそう。泊まるべきなのに!

泊まったホテル「Le Saphir」はバス停からは10分ちょっと歩くけれど、メイン通りに面していて便利。ただ部屋は4階(表記上は3階)なのにエレベーターがなくてかなり苦労した。この7月に20度前後と涼しいはずのこのバスクで久しぶりに汗をかきました。エレベーターがあるかないかはホテル選びの重要なポイントだな。でもふたりで2泊で180ユーロ、ベッドもきれいでトイレもシャワーもついているからそこ以外は快適だったな。

SNCFの駅はビアリッツの街から離れているので、街まではタクシー移動が必要なよう。バイヨンヌやサン・ジャン・ド・リュズから来るならバスのほうが便利かもしれないけれど、本数は圧倒的に多いよ。ビアリッツからサン・ジャン・ド・リュズへ向かうバスは、インフォメーション前のバス停から一つ目は先ほど紹介したパティセリー「MIREMONT」の前に止まるのでそこから乗るほうが便利。

マルシェの話は別記事で。

【バスクへの旅その4】サン・セバスティアンのバル「GANBARA」と「La Cepa」9点

記事を書いている今は、フランス側のサン・ジャン・ド・リュズからバルセロナまでの鉄道の中(たった今はバルセロナで事件が起きたあとで凹み中)。6時間以上あるので車窓にも飽きてしまった。記憶が新しいうちに6日前に滞在していたサン・セバスティアンの「GOIS ARGI」以外の2軒のバルをまとめて記事にしようと思う。

1軒は行きたかった候補のバルのひとつ「GANBARA」で、縦に走るメイン通りの左側にある賑わった店。バルはそんなにおそくまでやっていなくて私たちが夕飯を食べに街に出た22時半くらいでも1/3くらいはシャッターを半分下ろしていた。だから一番賑わっている時間帯を考えたら通りに人は少ないんだけれど、その分賑わっている店はすぐにわかる。22時でもうっすら明るいから、たいていいつだって明るいうちに酒が飲める喜びを味わえる。と言ってもみんながまともに夕飯を食べだすのは20時以降と遅い。


この店の名物は「GOIS ARGI」でも食べたチャングローという毛蟹にその味噌を和えたもの。ここではそれをタルト型に入れていて、食べる前に焼き直してくれる。口の中にふわっといその香りが漂いうまい。

ここでは小さなカウンター内に5人ほど働いているんだけれど、ひときわかっこいいのはこの女性。低い位置に巻いたエプロンにリネンをかけた姿が似合っていて、私たちの注文をてきぱきこなしてくれた。

海老とアンチョビ、ゆで卵を組み合わせたピンチョスはどこの店でもおいてあり、ここのものももちろんうまい。パンはバゲッドのような皮がかたいものではなく、サクサクとしたもの。思い切り頬張っても噛み切りやすく食べやすい。70センチくらいの長さで街のスーパーでも売っていて1ユーロしない。このパン、とっても気に入ってしまった。

バスクの旅で日本人に出会うことはまれだったんだけれど、この店ではたまたま隣に男性4人組がいて、ペラペラとスペイン語を話し旅慣れた感じ。この山のように積まれたキノコがうまいんだよと、ソテーにしたものを食べさせてくれた(写真撮り忘れ)。この食材はちょっと高級らしく、珍しく値段もはるらしい。っていっても1000円なんてしないんだろうけれど。

最終日の昼は、2軒のバルをまわったんだけれど、お目当ての「Borda Berri」も「La Cuchara de San Telmo」も開いてなくて、飛び込みで賑わっていそうな店に入った。それがこの店「La Cepa」。まいど同じくチャコリを注文。サン・セバスティアンのバル巡りもだいぶ慣れてきた。この店は大皿に置かれたピンチョスを自分で勝手にとって食べるスタイル。温めたりしないからみたい。この店でうまい!と唸ったのは赤ピーマンをグリルで焼いたものにアンチョビとサワークリーム(たぶん)添えた物。おいしかったのでこの赤ピーマンの瓶詰めは2瓶も購入。

英語が通じないバルの店員でも、札を出してだいたいふたりで20ユーロ程度だせば会計の素振りだとすぐ分かってくれる。何を頼んだか聞かれるんだけれど、たいてい覚えていてくれるので、適当に「そうそう」みたいなこと相づちを打てば会計もあっさりできるようになった。

安くてうまくて陽気で楽しいサン・セバスティアンのバルは、焼き鳥と枝豆にビールがあれば幸せだって言う日本人にはぴったりなはず。また絶対にこの街はこようって決めたよ。

【バスクへの旅その3】サン・セバスティアン(San Sebastian)の食以外についてつらつら

バスクへ行こうと決めて、いったいバスクがどんな地で、どうやっていけばいいのか調べるのにはちょっと一苦労した。行きたいと本気で思ったのは、2008年の雑誌「旅」のバスク特集、決め手は去年NHKが直木賞作家が食べるヨーロッパの田舎旅特集の「角田光代のバスク」だった。ネット上にも情報はあるけれど、まだまだ情報が少ないので記憶があるうちに書き留めておきたいと思う。今回はサン・セバスティアンの食以外について。

ちょうど私が訪れた7月の第二週はスペイン三大祭のひとつパンプローナの牛追い祭りが開かれていた。パンプローナは南に50キロほどの街なので、このサン・セバスティアンにも牛追い祭りの衣装を着た若者で溢れかえっていた(写真で見えるかな)。衣装は白の上下、首には赤いバンダナ、腰には赤いスカーフのような物。イッテQで見た記憶が強かったけれど、こんなに街が盛り上がっているとは思わなかった。パンプローナにはAMARA PLAZAの高速バスから行けるみたい。私たちはAMARA PLAZAのホテルだったから、ビルバオからのバスも、ビアリッツ行のバスでも便利だった。AMARA PLAZAからは旧市街へ向かうバスが頻繁に走っていて、確か28番、26番は行けた。28番はなぜか帰りは7番だったけれど、たくさんの人が乗るからすぐわかる。

街には二つの高台で囲むようにコンチャ湾があって、スペイン屈指のリゾート地。アチラコチラにトップレスのキレイなお姉さんが目に付く。うつぶせレベルじゃない、そのまま歩いているからびっくり。この写真はUrumea川を超えた向こう側の湾で、サーファー達がいっぱい。

西の高台はケーブルカーで行ける。旧市街地前の大通り16番のバスから行ける。不安だったらバスの運転手に「フニクラに行く?」って聞けばOK。バスは一律1.4ユーロ。ケーブルカーは片道か往復か選べて、往復は2.6ユーロ。

眺めは素晴らしい。夕焼けの時間に行きたいが、私たちが訪れた7月の日の入りは21:45。ケーブルカーは確かその時間までやっていないので帰りは歩きで降りる必要あり。でも大したことない距離だと思うよ。

このあとフランス側のバスクに行ってよくわかるんだけれど、スペイン側のバスクの街は道がとっても広い。いつも車の運転に慣れていない人でもあんまり苦労しないかも。その分、フランス側のビアリッツやサン・ジャン・ド・リュズは狭くて路駐だらけでしかも一通が多く、道は曲がりくねっているので、地図を読むのが得意ではない人は苦労するかも。その点、サン・セバスティアンはわかりやすい地形だし、人が集まるのはバルのある旧市街だから買い物だって食事だってわかりやすい。

お菓子屋はどこで買っても絶品、カフェも併設されていて遅くまでやっている。ガトーバスクはもちろん、クラシックなタルトの種類は多く、チョコレートの種類も半端ない。ひとくちサイズのものから大きなものまで、フルーツやナッツの使い方も見事。ホテルの高い朝ごはんを食べずにこういうお菓子を買ってすましていたけれど、安くてうまくておすすめです。

旧市街のマクドナルドの隣では規模はそんなに大きくないけれど朝市が出る。魚や肉は地下らしい。お花からはちみつ、野菜、加工品まで豊富。この豆とトマトと唐辛子のセットは何の料理のためにあったのだろう。

塩だらを使った料理は多く、旧市街には塩だら専門店があり、一本買いから部位別まで干して塩をしたタラだけでさまざまな種類がある。有名なピルピルは機会がなくて食べることができなかったけれど、次回は絶対食べると決めた。塩だらは持ち帰ろうとしたが、女店主にあっさり止められた。残念。日本で手に入る場所はないかなぁ。

こっちのバルは夜だけの営業ではなく、昼間もやっている。行きたかったBorda Berriはタイミング悪く行けずじまいだった。。。残念、次回の課題にしようと思う。

以上、サン・セバスティアン3日間の滞在でわかったことでした。これから行く人のための参考になればいいなぁ。