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神田須田町「いせ源」のアンコウ鍋 10点

5年ぶりくらいに、「いせ源」でアンコウ鍋をいただいてきました。最初に勤めた会社が小川町にあって、この神田須田町界隈は若かりし頃の私をうならせた名店ばかりが軒を連ねていて、今の食へのこだわりの第二次革命時代でした(第一次は幼少期の食生活でした)。外国人が出張してくれば、「薮そば」、しっぽり行きたければ「まつや」、甘味処なら「竹むら」、渋い上司に連れて行ってもらうなら「ぼたん」、うなぎなら「きくかわ」、打ち上げは「みますや」、おみやは「けぬきずし」。あの頃からなくなってしまったのは「はん亭」の串揚げくらいです(根津にはまだある)。

「いせ源」は私が仕事や恋にうまく行かず食欲がなくなってしまった時に、そんな私を察してかお偉いさんがここによく連れてきてくれました。おいしそうに食べる私をかわいいと言ってくれたのはあの時がはじめてだったかも。それからこの店は私が凹んだ時にくる店です。
大勢で行くときは予約しますが、確かふたりの場合は予約できないのかな。それともコースにしなければいけないのかな。食が細い私にはコースを頼まなければいけないせいで、大事な大事な最後の雑炊が満腹では困るのです。なので予約しないでふらりと行きましたが、土曜日のランチということもあってすんなり入れました。

ランチということもあって軽めに、「肝刺し」と鍋のみで。「肝刺し」1400円は厚く大きい3切れ。質の良いアンコウをきちんと蒸しているからこそできる上品かつ濃厚、しかしくどくない。私はフォアグラより断然あん肝だな。先日訪問した大塚の三浦屋と同じくらいレベルが高い。東京一なんじゃないかな。

 

ランチなので他のものには目もくれず、鍋へ。鍋の量はそんなに多くなく、汁だくでもない。そこが私はとても好き。月島「ほていや」は、空腹こそ最高の調味料だということをわかっていないから、あんなにまずい刺身を山ほど出して、鍋も食べきれないくらいの大量にしまうんだろうな。単価アップよりリピート率だと思うんだけど。

アンコウはいろいろな部位が入っている。質が良くて大変美味しい銀杏、しゃきっとしたウド、程よい大きさと食感の椎茸、香り豊かな三つ葉、彩りの絹さや。そして比較的濃い目のだし汁でくつくつと煮込む。ゼラチン質の皮の部分はぷるんとして唇をつるんと入っていく食感がたまらない。白身はほろほろと、肝は煮込んでも溶け出さないくらいしっかり。あぁ、なんてうまいんだろう。最後の晩餐は納豆ご飯がいいと思っていたけれど、やっぱり「いせ源」のアンコウ鍋だろうか・・・なんて思ってしまう。

 

そして最後の雑炊は一人前で。バブル世代の人たちは、昔の本棚から引っ張りだして、ホイチョイの「東京いい店やれる店」の97ページを見てほしい。あれだけ女の子を落とすための術を書きながらも、締めの雑炊づくりで卵とご飯を不用意に混ぜようとしたときは彼女を殴り倒して良いとある。

でも大丈夫、ここもおねえさんが全部面倒見てくれます。雑炊を作れる風の女子を演じるくらいならさっさとおねえさんに作ってもらったほうがイイです。レンゲを使った卵の絶妙な混ぜ加減は私が知っている限り15年間と少しも変わってないです。

そうそう、この雑炊はどうでもいい悩みを吹き飛ばすパワーがあります。最後の晩餐はここの雑炊がいいな。漬物もおいしいので一緒に頼むといいですよ。

下足番のおじいさんとの気の利いた会話も楽しいです。こんな番号札を渡されるのはもはやアミューズメントパーク的ですが、いつまでもこのままでいてほしいものです。

また来年も来ようっと。すきま風が寒くて0.5点下げようか悩んだんだけれど、やっぱりこの佇まいのままでいて欲しいから10点継続です。

以前に書いた記事はこちら

関連ランキング:あんこう | 淡路町駅小川町駅新御茶ノ水駅

大塚「三浦屋」のアンコウとふぐ 8.5点

大人が楽しめる背伸びしすぎていない店「三浦屋」に連れて行ってもらいました。ホイチョイの「東京いい店やれる店」も2冊めになるとリアルすぎてただのガイドブックと化しているのが若干残念ですが、ここは「やれる店」の1冊めには載らないんだけれど、2冊めには載りそうな店です(伝わらないかな・・・)。私は1冊めの店も2冊めの店も好きなんだけれど、こういう店にさりげなく誘うおじさんはとっても好きです。大塚という場所もいい。

前置き長かったですが、この店へのお誘いメールは「アンコウとふぐと私」。ランチは鰻も定番らしいですが、今回は絶品と呼ばれる肝刺しにふぐのお刺身、それにアンコウ鍋をいただきに来ましたよ。鍋はやっぱりみんなでつつくのがおいしいよね。

東京でアンコウの店は、神田の「いせ源」と月島の「ほていや」くらいしか知らないし、断然「いせ源」派なのですが、ここの肝刺し1500円は「いせ源」と同じくらいおいしく、1切れあたりの価格はこちらのほうが安いので、軍配は「三浦屋」でした。これだけで延々と日本酒をいただいてもいいかもです。

こう、なんて言うか、ねっとりとしていて、脂の甘味を感じるのだけれどしつこくなくて、口の中でほろりと崩れる。この世で好きな食べ物ベスト5に入るな、これ。

続いて白子。これはマダラの白子です。マダラの白子は私の大好きな食べ物ベスト3に入るのですが、ものによって差が激しくて、軽々しく「白子大好き」なんて言って注文されちゃってまずい白子を食べさせられた時のがっかり感はたまらないです。でもこの白子はあまりにも新鮮すぎて、表面に浮かぶ毛細血管までくっきり見える。ポン酢もワカメやミョウガが添えられていてとっても私好み。

ちなみに私が今までで食べた白子のベスト1は、築地「寿司大」の白子のにぎりでした。あそこまで並んで食べる気力はもうないかなぁ。

続いても白子1200円。こちらはフグの白子。直径4センチくらいかな、とっても小さいんだけれど、皮がぷちっと破けて、中から濃厚なソースが飛び出し、皮の周りのねっとりとした口にまとわりつく部分と合い交わると、得も言われる幸せを感じるわけです。とってもいやらしい。こんなに一日で白子ばっかり食べて大丈夫なのだろうか・・・。

フグのお刺身。まだまだ私はおこちゃまで、フグよりアンコウかなぁ、フグのおいしさってまだまだわからないんだよなぁと思っていたのですが、今日のふぐ刺しはうまいなぁ・・・とうなづいてしまいました。たぶんおいしいフグを食べていなかっただけなんだろう。個人的には皮のコリコリとした部分が好きです。

フグのブツ差しを使ったサラダ。白菜の生を使うのはとてもいいアイデアだと思いました。フグのみをゴロゴロ感じられる贅沢な料理です。

この辺りから酩酊しまして、大事なアンコウ鍋の写真を撮り忘れ、もちろん雑炊も食べたのに写真に収めていません・・・。それだけトークが楽しくて食事どころじゃなかったんです。だからまた来なくちゃ。

 

あーー、楽しかった。

 

 

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